2003 Fiscal Year Annual Research Report
炭素シンクとして機能する海洋難分解性溶存態有機物の生成における大型海藻の重要性
Project/Area Number |
15651002
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
濱 健夫 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (30156385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 優和 筑波大学, 生物科学系, 講師 (70251014)
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Keywords | 溶存態有機物 / 大型海藻 / バッグ実験 / 分解実験 / 安定性 |
Research Abstract |
静岡県下田市の筑波大学臨海実験センター前の鍋田湾において、潜水作業で褐藻綱コンブ目のカジメ(Ecklonia cava)及びアラメ(Eisenia bicyclis)の葉状部を、102時間に渡り採水口つきの透明なビニール袋で覆った。定期的に注射筒を用いて採水口から袋の内部の海水を採取し、GF/Fフィルターで濾過することにより、溶存態有機物を得た。また、102時間後に藻体と袋の内部の水を回収して海水をGF/Fで濾過し、得られた濾水を暗条件下で通気しながら放置して、定期的にサブサンプルを抜き取った。これらの試料について、含まれる溶存態有機炭素量を測定した。 その結果、以下の事が明らかとなった。 1、実験開始時には1mgCL^<-1>程度であった溶存態有機炭素濃度は、50時間後には8-11mgCL^<-1>にまで増加した。実験に用いたカジメ、およびアラメの甘受雨量あたりの生産量を見積もると、平均1.21mgCg^<-1>d^<-1>となった。この値は、従来大型藻類について報告された値と近いものであった。 2、暗所における溶存態有機炭素濃度の減少は比較的穏やかであり、実験開始後30日目において6mgCL^<-1>まで低下した。実験開始時の溶存態有機炭素濃度に対して、30日目までに分解された易分解性溶存態有機物の割合は平均38%であった。これは植物プランクトンについて報告されている値よりも小さいものであり、大型海藻から供給される溶存態有機物が、安定な画分を含むことを示唆している。
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