2004 Fiscal Year Annual Research Report
炭素シンクとして機能する海洋難分解性溶存態有機物の生成における大型海藻の重要性
Project/Area Number |
15651002
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
濱 健夫 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教授 (30156385)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 優和 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (70251014)
|
Keywords | 褐藻類コンブ目カジメ / 溶存態有機物 / バッグ実験 / 分解実験 / 単糖類組成 / 安定性 |
Research Abstract |
平成15年度に引き続き、静岡県下田市の筑波大学臨海実験センター前の大浦湾において、カジメによる溶存態有機物の生産量の測定を行うと共に、カジメより生産された溶存態有機物について、分解実験を実施し、その安定性について検討した。また、鍋田湾におけるカジメを通した溶存態有機物の生産量を、他の主要な生産者である植物プランクトンの生産量と比較するため、^<13>Cトレーサー法を用いて、光合成生産量の測定を行った。 その結果、以下の事が明らかとなった。 1.平成15-16年を通して、平成15年度に2回(8月および10月)、平成16年度に3回(4月、6月および12月)の観測を行った結果、カジメによる溶存態有機物の生産量は、0.12-5.8mgC・g^<-1>・d^<-1>の範囲で変動した。(数値はカジメの乾重量あたり、1日あたりの生産量) 2.生産量は、冬-春にかけて高く、夏から秋にかけて低い傾向が認められた。この生産量の変動パターンは、同水域において報告されているカジメの成長量の季節変化に類似しており、成長量の19-61%に相当した。 3.大浦湾全体のカジメによる溶存態有機物生産量は、18-480kgC・d^<-1>と見積もられた。この値は、^<13>C法を適用して見積もられた植物プランクトンによるDOCの生産量(6-25mgC・d^<-1>)を大きく上回るものであった。 4.カジメにより生産された溶存態有機炭素の14-40%が、分解実験期間中の1ヶ月間で分解された。この値は、植物プランクトン起源のDOCの分解量より低く、カジメ起源の溶存態有機物は、より安定性を持ち、炭素を長期間有機物の形状で保持していることが明らかとなった。
|