2003 Fiscal Year Annual Research Report
超高感度全自動質量分析装置を用いた放射線誘発アポトーシス制御因子の同定
Project/Area Number |
15651019
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 文男 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (10019672)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢島 浩彦 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助手 (30261895)
|
Keywords | 紫外線 / アポトーシス / cytochrome c / Jurkat / HeLa S3 / 二次元電気泳動 / 質量分析装置 / プロテオミクス |
Research Abstract |
既に、DNA損傷をトリガーとするアポトーシスにはミトコンドリアが重要な役割を担っていることが証明されている。また、最近の研究により、血液リンパ球系の細胞は上皮系がん細胞(HeLa S3細胞)に比べて放射線誘発アポトーシスに高感受性であり、紫外線照射により速やかに死細胞が出現することが示唆された。本研究ではこの点を再確認するため、ヒトリンパ性白血病由来Jurkat細胞に20J/m^2の紫外線を照射し、培養後継時的に細胞を固定・DAPI染色するとともに、細胞質液分画(cytosol)中のcytochrome c量を測定することによりアポトーシスシグナル伝達の活性化動態を調べた。その結果、紫外線照射されたJurkat細胞は照射後3時間で25%がアポトーシスにより死滅すること、その際には多量のcytochrome cがミトコンドリアから放出されることが分かった。次に、これらのcytosolを等電点(一次元)電気泳動及びSDS-PAGE(二次元)電気泳動にかけ、出現したタンパク質スポットパターンを未照射細胞と照射後3時間目の細胞について比較した。紫外線照射により変化したスポットを分離し、ゲル内消化した後、得られたタンパク質断片を超高感度全自動質量分析装置(ultraflex TOF/TOF型)を用いて解析したところ、明らかに量的に増えたタンパク質としてchloride channel protein(CLIC1)、Rho-GDP-dissociation inhibitor Ly-GDI、質的に(等電点として)変化したタンパク質としてacidic ribosomal protein P2が同定できた。次年度は、これらのタンパク質構造と性質を詳細に解析するとともに、その生物学的機能調べることにより紫外線誘発アポトーシスにおける役割を明らかにする予定である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] F Watanabe: "Involvement of DNA-dependent protein kinase in down-regulation of cell cycle progression."The International Journal of Biochemistry & Cell Biology. 35. 432-440 (2003)
-
[Publications] H.Yajima: "Identification of a Bcl-XL binding region within the ATPase domain of Apaf-1."Biochemical and Biophysical Research Communications. 309. 520-527 (2003)
-
[Publications] H.Katayama: "Phosphorylation by aurora kinase A induces Mdm-2-mediated destabilization and inhibition of p53."Nature Genetics. 36・1. 55-62 (2004)
-
[Publications] A.Urushibara: "Involvement of telomere dysfunction in the induction of genome instability by radiation in scid mouse cells."Biochemical and Biophysical Research Communications. 313. 1037-1043 (2004)
-
[Publications] F.Suzuki: "Radiation and Humankind (Cellular radiosensitivity and cell-type-specific activation of apoptosis signaling pathways)(Y.Shibata, S.Yamashita, M.Watanabe, M.Tomonaga, eds)"ELSEVIER. 5 (2003)
-
[Publications] 鈴木 文男: "生物薬科学実験講座第6巻、[1]細胞周期の解析(第1章 細胞増殖の基礎)(井出利憲 編)"廣川書店. 26 (2003)