2003 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質過敏症と情動異常の関係を動物モデルにより解明する
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15651022
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
欅田 尚樹 産業医科大学, 産業保健学部, 助教授 (90178020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笛田 由紀子 産業医科大学, 産業保健学部, 助手 (10132482)
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Keywords | 化学物質過敏症 / MCS / 動物モデル / 吸入曝露 / ホルムアルデヒド / 海馬 / 情動異常 / シナプス長期増強 |
Research Abstract |
近年、化学物質過敏症(MCS)が社会的な問題として注目されている。しかしその病態については大部分が不明である。MCSと診断された患者の中枢神経系関連の症状として、疲労感・頭痛・不安・憂鬱・集中できない・物覚えが悪くなった・いらいら感・めまい等報告されている。そこで我々は申請書にあるように情動との関係に注目し大脳辺縁系の関与を考えた。海馬は大脳辺縁系に含まれ、コンテキストのある学習・記憶で大きな役割を担っていると考えられている。われわれは、雄性BALB/cとマウス(5匹)にホルムアルデヒド(2000ppb)を12週間経気道曝露し、対照群(5匹)には同様の曝露チャンバー内で新鮮空気を与えた。曝露終了後、両群のマウスから海馬のスライス標本を作製した。そして、海馬CA1領域の錐体細胞について、刺激-応答曲線とシナプス長期増強を調べた。その結果、刺激電流値とpresynaptic fiber volleyの関係は曝露群と対照群で有意な差がみとめられた。しかし、長期増強に関しては、テスト刺激で誘発された集合シナプス電位のslopeの大きさは2群間で差がなかった(曝露群:2.55+/-0.17 mV/ms, n=12、対照群:2.60+/-0.2 mV/ms, n=13)。θバースト後のslopeの経時変化も2群間で差は認められず、35-40分でのLTPは、曝露群で49.7+/-0.4%、対照群で53.0+/-0.2%であった。このことからθバースト刺激誘導のLTPは曝露では変化しないことが示唆された。有意差が認められた指標については実験数を増やして確認する必要がある。
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Research Products
(1 results)