2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15651025
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木島 明博 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50161451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小濱 泰昭 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (60006202)
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Keywords | ナノバブル / 付着生物 / 付着忌避 / フィールド実験 / 飼育室内実験 / 流体工学 / 水産学 / 環境科学 |
Research Abstract |
沿岸生物の幼生は沿岸の岸壁、漁網、養殖施設、発電所の冷却水取水管など、あらゆる場所に付着し、その脱離と洗浄に多大な労力と費用がかかっている。これまで我々は極めて微細な空気の泡(ナノバブルと称す)を発生させる装置を流体工学的に作成し、その応用としてナノバブルの貝類養殖生産に対する効果の研究を行ってきた。その結果、生産効果に与えるナノバブルの効果は小さかったが、室内実験、フィールド実験ともにナノバブル実験区において顕著に付着生物が少ないことに気が付いた。本研究は、流体工学によるナノバブルの海産生物付着忌避機構を生物学的観点と流体工学的観点の両面から明らかにすること、およびナノバブルを実験手法とした新たな学問分野への展開と海水利用産業への応用展開について考案することを目的とした。 本年度は、飼育水槽実験用、野外フィールド実験用のナノバブル発生装置およびそれを用いた実験装置を設定した。野外フィールド実験ではナノバブル実験区と対照区を女川湾養殖施設近傍に設置し、経過観察を行った結果、ムラサキイガイをはじめ固着性付着生物および非固着性付着生物の付着がいずれも認められたが、量的には明確にナノバブル実験区で少なくなっていた。また、同時に開始した飼育水槽実験において、ナノバブル実験区、新ナノバブル実験区、エアレーション実験区、無バブル実験区を設定し、付着生物量を計測した。その結果、フィールド実験区と比較して明確な差異は認められなかったが、ナノバブル実験区では表層に多くの有機物残骸が認められ、水中のプランクトン防除機能が予測された。有機物残骸に関しては現在分析中である。 フィールド実験および飼育水槽実験に関しては計画どおりに実施でき、ナノバブルの付着忌避効果を確証できたが、人工種苗を用いた実験は、昨年の海洋状態の不順(夏期の低水温)のため十分な実験ができなかった。
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