2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物繊維からのナノフィブリルの製造とグリーンナノコンポジットの創生
Project/Area Number |
15651029
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢野 浩之 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (80192392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 淳司 京都大学, 生存圏研究所, 助教授 (40183842)
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Keywords | 植物繊維 / ミクロフィブリル化 / ナノファイバー / 光透過率 / 超微細摩砕機 |
Research Abstract |
ナノオーダーまで構造制御された均一なセルロースミクロフィブリルを、成型物が製造できる程度まで大量に製造し、それを精緻に再構築し、その機械特性を明らかにすることを目指し、「植物繊維からのナノフィブリルの製造とグリーンナノコンポジットの創生」について研究を行つている。昨年度は、ミクロフィブリル化繊維(MFC)を出発材料として、ラボプラストミルを用いた混練および超微細摩粋機により、種々の条件でナノファイバー製造を試みた。AFMおよびSEMを用いた観察から、超微細摩砕機によるナノファイバー化が有用であることが明らかになった。 上記の成果を基に、萌芽研究の最終年度である本年度は、超微細摩砕機を用い、低濃度クラフトパルプ、溶解パルプ水溶液を処理し、得られた処理繊維について、SEMおよびAFM観察を行った。処理回数の増加と共に、ナノファイバー化が進むことが認められた。均一ナノファイバー化の程度を光学的に評価することを考え、パルプ解繊繊維を水懸濁の状態から濾過してシート化し、乾燥後、透明アクリル樹脂と複合した。得られた複合シートは、繊維含有率が70〜80%であるにも関わらず、60-70%の可視光透過率を示した(フレネル反射を含む)。また、透過率は、処理回数の増加と共に向上した。この透明ナノファイバー複合樹脂シートは、20ppm/C前後のきわめて低い線熱膨張係数を示した。 以上のことから、植物繊維を超微細摩砕機で処理するとことで、樹脂との複合後に透明性が得られるナノファイバーが製造出来ることが明らかとなった。この透明繊維複合樹脂シートは、低熱膨張でかつフレキシブルなことから、ガラスやプラスチックとは異なる特性を有する新規透明素材として、きわめて高いポテンシャルを有していると考えられる。
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Research Products
(5 results)