2004 Fiscal Year Annual Research Report
走査型プローブ顕微鏡によるDNA分子の半導体表面ステップへの特異吸着の研究
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15651050
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
富取 正彦 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (10188790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 豊子 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (20250235)
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Keywords | DNA / 走査型プローブ顕微鏡 / 走査型電子顕微鏡 / シリコン / ステップ / 吸着 |
Research Abstract |
本研究では、非接触原子間力顕微鏡(nc-AFM)などの原子分解能を有するSPM法を利用して、ステップの並びを制御したSi清浄表面基板にDNA分子を配列させ、固体基板表面のステップに特異吸着する分子を解析することを目的とした. ステップ配向を制御したSi基板を調製するために、微傾斜面Siウェハーを超高真空中で1200℃に通電加熱し清浄表面を得た.この表面はステップが多数重なったステップ・バンチング構造をもつ.この超高真空装置に直結した高真空槽(10^<-8>Torr台)に、DNA分子を含んだ水滴を真空中で基板に噴霧できる機構を組み込んだ.本装置を利用して、長さの異なる直鎖状・環状DNA分子、金ナノ粒子付着ポリヌクレオチドDNA分子などをSi基面に噴霧した.この面への散布状態を確認するために、大気稼働AFMや超高分解能電界放射走査型電子顕微鏡(FE-SEM、Hitachi S-5200)を用いて観察した.本FE-SEMは、基板のステップを観察することができ、また金粒子の場合、電子加速電圧30kVで最高0.5nmの分解能を有する.その結果、試料表面を電導性膜でコートすることなく、Si基板上に担持されたDNA分子の様子を観察することに成功した.これは予想外の発見で、本手法が生体分子の固体基板上での担持状態を広範囲から微小範囲にわたって迅速に観察できる新手法になることを示している.滴下液のDNA濃度、含まれる塩濃度、意図的に導入したDNA分解酵素がSi基板上の残留構造にどのように影響を与えるかを調べ、観察されている構造がDNAに由来したものであることを確認した.Si基板のステップに絡みつくように析出したDNA分子や、滴下液の乾燥過程でフラクタル状の規則的なパターンが観察されることを発見した.現在、形成パターンを系統的に精査している.
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