2003 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ結晶3次元組織解析のための電子顕微鏡トモグラフィー技術の確立
Project/Area Number |
15651055
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松村 晶 九州大学, 工学研究院, 教授 (60150520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 賢治 九州大学, 工学研究院, 助教授 (30336002)
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Keywords | 透過電子顕微鏡法 / 電子線トモグラフィー / ナノグラニュラー薄膜 / 3次元構造解析 / 暗視野像 |
Research Abstract |
透過電子顕微鏡では物質内部の構造を2次元像に投影するため、観察対象が複雑な3次元構造を有する場合に、その解析に困難や不確定さが生ずる。この問題を克服する手段として、様々な方位から観察した透過像を演算処理することによって試料内部の3次元構造を構築する電子顕微鏡トモグラフィー技術が最近実用化されつつあり、物質の内部構造をナノスケールで解析する新技術として注目されている。本研究では、電子顕微鏡トモグラフィー観察において試料回転ホルダーを活用した試料方位の制御を試行し、ナノ物質の3次元結晶組織を解析する手法を開拓することを主目的としている。具体的には、ナノグラニュラー組織をもつ金属磁性薄膜と金属ナノ結晶材料の3次元結晶組織解析を通して回折条件の選択や画像合成の条件について検討を行い、手法や観察条件の最適化を図り手法としての確立を目指している。本年度に得られた主な成果を以下に述べる。 (1)非晶質Al_2O_3マトリックス中にナノメートルスケールのFePt微粒子を分散させたナノグラニュラー薄膜について、タスク1で検討したTEMトモグラフィー法を活用して、その3次元構造の観察を行った。このとき試料回転ホルダーを使用することにより、回折波が現れる結晶軸と試料ホルダー傾斜軸(X軸)を一致させ、回折条件を制御した明視野あるいは暗視野による電子顕微鏡トモグラフィー像を得ることに成功した。 (2)イオン照射を施したFePtナノグラニュラー薄膜のTEMトモグラフィー観察を行い、FePt粒子の3次元形態を明らかにした。特に2.4MeVCuイオンの照射によって、FePt粒子がイオン照射方向に沿って大きく成長することをトモグラフィーによる3次元構造解析により初めて見いだした。
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