2003 Fiscal Year Annual Research Report
一次元原子鎖制御によるシリコン・ナノアーキテクチャ
Project/Area Number |
15651056
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
内藤 正路 九州工業大学, 工学部, 助教授 (60264131)
|
Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / Si(100)表面 / ビスマス / ナノワイヤ / 自己組織化 / 半導体表面 / ナノ材料 / 一次元構造 |
Research Abstract |
研究代表者は、V族原子であるBiがSi(100)表面において自己組織的にナノワイヤを形成するという現象を1997年に発見した。ナノワイヤの直線性は完全で、表面にステップがない限りどこまでも伸びるという性質をもつ。このナノワイヤの成長を制御することができるようになれば、Si表面でのナノスケール・アーキテクチャに大いに利用でき、Si表面の区画化とナノ構造形成の方向へと応用が広がるはずである。また、ナノワイヤの間隔が制御できるようになれば、例えばナノワイヤの電子状態を利用することにより特定の長さの分子のみをトラップすることなどが想像でき、ナノバイオサイエンスにも貢献できる。さらには、自己組織化による表面新物質創成の基礎研究にも繋がると考えられる。 本年度においては、ナノワイヤ上への異種原子吸着過程について調べた。Si(100)表面にBiを吸着し、ナノワイヤが形成されたことを確認してからその上にAg原子を吸着させた。その結果、Ag原子はナノワイヤ上にはあまり吸着していないことがわかった。ナノワイヤが形成されたSi(100)表面のテラスにはかなりの数の欠陥が見られるが、ナノワイヤ周辺には欠陥は見られない。このことは、Si(100)表面のテラスに吸着したAg原子はそこでトラップされるが、ナノワイヤ周辺に吸着したAg原子は容易に表面を拡散することができ、その結果ナノワイヤ周辺にはAg原子が吸着していないように観察されることを示唆している。ナノワイヤは長さが数百nm程度まで成長することがわかっているが、これは、ナノワイヤ上をBi原子が拡散しているためであると思われる。Ag原子も同じようにナノワイヤ上を拡散していることも考えられるが、まだ明らかにされていないので、次年度の研究課題の一つである。
|