Research Abstract |
現地野外調査: 1:十勝太平洋沿岸の異なる地形を利用して古津波堆積物の観察,記載,試料採取を行った. それらの地形は,海食崖を伴う海成〜河成段丘,沿岸砂州,泥炭低湿地,段丘面上の浅い谷などである.とくに,根室半島の別当賀地域においては,泥炭が発達する海成段丘開析谷でおいてピット掘削調査,花粉分析用コアサンプラーを用いたボーリング調査およびジオスライサーによる詳しい調査を実施し,火山灰試料,粒度組成分析用古津波試料ならびに年代測定供与試料を採取した. 2:日本海側沿岸域については,羽幌〜天塩において精査を行った. 室内分析: 採取した古津波堆積物の粒径組成分析,ならびに火山灰の岩石鉱物学的分析,火山ガラス屈折率測定を行った. 以上の資料,昨年度までの資料を総合して北海道太平洋沿岸に襲来した過去6500年間の超巨大津波の履歴,とくに波高,遡上過程と遡上範囲,時期,再来間隔について検討し,ほぼ確定することができたさらに,2004,12.26インド洋津波の現地調査で得られて知見との比較検討を行った. 結果: 北海道太平洋沿岸では,過去6500年間に十数回,300〜500年ごとに,インド洋津波級の超巨大津波が発生してきた.直近のイベントは17世紀初頭で,すでに約400年が経過している.津波が運搬した堆積物は海岸付近から内陸へ向かって指数関数的に細粒化し,津波のエネルギーの減衰を示すと解釈できる.地形情報を有効に活用することによって,超巨大津波をさらに波高と浸水範囲について規模評価ができることを示した
|