2003 Fiscal Year Annual Research Report
LB膜の積層によるX線解析用タンパク質人工結晶の作成
Project/Area Number |
15651086
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 淳巨 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (40196788)
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Keywords | タンパク質 / 結晶化 / LB膜 / 二次元結晶 / 累積 / 人工結晶 |
Research Abstract |
本実験では、まず、少量のタンパク質溶液でも再現性よく実験ができるように、LB膜作成装置のトラフ(水槽)の形状についての検討を行った。その結果、容積1ml(表面積6cm^)のトラフの作成に成功した。次に、実際のタンパク質の二次元結晶化に進んだ。タンパク質の二次元結晶は、水を張ったトラフの水面に脂質単分子膜を作成し、この膜の下面(水相側)にタンパク質分子を結合させることにより、隣接する分子間の相互作用によりタンパク質の自己組織化を促し、自発的に形成させた。今回の実験では、タンパク質にアビジンを用い、脂質にはビオチン化したフォスファチジルコリンを用いた。LB膜作成装置を用いたアビジンの二次元結晶化では、ビオチン-脂質複合体が存在するトラフ水面の表面圧を、バリアーを使ってできるだけ高くなるように制御し、タンパク質面密度を上げて二次元結晶の迅速な成長を促した。二次元結晶の転写用基板としては、マイカ・シリコン等も検討したが、表面が疎水性でかつ原子レベルで平面性の高いグラファイトをタンパク質二次元結晶の転写用の基板として選んだ。転写は、トラフの水面にグラファイト基板をゆっくり押し付けるようにして行った。転写した二次元結晶をタンパク質を含む水溶液中でAFMにより観察し、転写された二次元結晶の様子を観察した。その結果、均一に転写されている領域が数ミクロン程度と狭いことがわかった。今後、二次元結晶の積層実験に進むためには、少なくとも数百ミクロン四方の大きな二次元結晶を基板上にその構造を壊すことなく転写しなければならない。二次元結晶化条件の検討や転写法の工夫をさらに行う必要がある。
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