2003 Fiscal Year Annual Research Report
金属誘起赤外吸収増強効果を利用した生物分子間相互作用の特異的検出法の開発
Project/Area Number |
15651092
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
吉田 敏 岐阜大学, 工学部, 教授 (50158440)
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Keywords | フーリエ変換赤外分析 / ナノ金粒子 / 全反射測定 / アビジン / ビオチン / マイクロ波照射 / 温度変化 / 表面増強 |
Research Abstract |
今回の研究課題の基盤的技術は、ミクロ全反射測定(μATR)によるフーリエ変換赤外分析(μATR-FTIR)である。このμATR-FTIR法で、微量かつ微小な試料を非破壊的に測定する。 初年度(H15)では、第1に、このμATR-FTIR法により非破壊的に食品素材や人体の粘膜組織中の不飽和脂肪酸組成比を定量的に測定する方法を確立し、発表した。その発展として、第2に、新しくマイクロ波照射装置(アジレント)を導入し、生体分子を結合したナノ金粒子を照射することにより、局部的に温度変化の影響が、金粒子に結合しているか、そのごく近傍の分子振動スペクトルにどのように影響するか、検討した。第3に、ナノ金粒子に結合したアビジン蛋白(Gold-Av)をモデルとしてFTIRによる検出の表面増強効果が強く現れる条件を検討した。 第2のマイクロ波照射については、10mWがその装置の基本的最大値であり、特別に作製したアンテナ部からATRのダイヤモンドプローブ上に載せたGold-Avに、近接させて照射した時(800MHz〜2GHz)、1320cm^<-1>と1340cm^<-1>の赤外吸収バンドが、可逆的に夫々1328cm^<-1>と1347cm^<-1>にシフトする現象を観察できた。しかし、マイクロ波の出力が小さく、明瞭な温度上昇を見るためには、100mW以上の出力が必要と考えられる。 第3の表面増強効果を見る課題では、ナノ金粒子のサイズを1〜20nmで変えて、Gold-AvでのAvidin蛋白の赤外スペクトルの変化で検討した。その結果、金粒子のサイズが5nm以上で、金表面に結合した蛋白質側鎖のOH基やC-Oの伸縮振動由来の吸収(3300cm^<-1>や1033cm^<-1>)が各5倍から17倍増強しているのを観察した。さらに、興味深いことに、Gold-Avのストック液を5000倍に薄めて、dry-upして測定すると、dry-upする時にある形状にすることで、その小さな吸収が12倍以上に増強されることが判明した。この場合は、結局、Avidin蛋白質を、それだけの場合よりも、100倍以上の増強効果の下で測定できることを示唆している。 次年度以降は、抗原なとを高感度に、かつ特異的に測定する手法へと発展させていきたい。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] S.Yoshida, H.Yoshida: "Non-invasive analyses of unsaturated fatty acid species in dietary oils and human oral mucosa in vivo by attenuated total reflectance Fourier-transform infinred spectroscopy."Clin.Chem.Lab.Med.. Vol.40. S109 (2002)
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[Publications] S.Yoshida, H.Yoshida: "Non-Destructive Analyses of Unsaturated Fatty Acid Species in Dietary Oils by Attenuated Total Reflectance Fourier-Transform Infrared Spectroscopy."Biopolymers. 70. 604-613 (2003)
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[Publications] T.Egashira, K.Sakai, F.Takayama, M.Sakurai, S.Yoshida: "Zinc benzoate, a contaminating environmental compound derived from polystyrene resin inhibits A-type monoamine oxidase."Toxicol Lett.. 145(2). 161-165 (2003)
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[Publications] S.Yoshida, H.Yoshida: "Non-invasive analyses of diurnal changes of polyunsaturated fatty acids in human oral mucosa by attenuated total reflectance fourier-transform infrared spectroscopy."Biopolymers. in press. (2004)