2004 Fiscal Year Annual Research Report
水晶体培養細胞中のD-アミノ酸含有タンパク質及びストレス誘導タンパク質の解析
Project/Area Number |
15651095
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 紀子 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90199290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 毅 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (10274143)
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Keywords | D-アミノ酸 / ラセミ化 / 異性化 / 水晶体 |
Research Abstract |
【目的】 申請者らは最近、水晶体培養細胞の産生する50kDaのタンパク質中にD-β-アスパラギン酸(D-β-Asp)が存在することを発見した。これまでに種々の代謝の緩慢な老化組織(水晶体、脳、皮膚、歯など)ではD-β-Aspが見いだされているが、分裂の盛んに行われている培養細胞中でのD-β-Aspを含むタンパク質の報告は全くない。本研究ではこのタンパク質を同定することを目的とした。 【方法】 水晶体培養細胞NN1003Aを大量に培養し、タンパク質画分を抽出し、2次元電気泳動にかけ、以前我々の調製したD-β-Asp含有ペプチド特異抗体を用いてwestern blottingを行った。ついで、D-β-Asp含有タンパク質に相当するスポットをカットし、トリプシンによりゲル内消化を行った。得られたペプチド混合物を脱塩し、MALDI-TOF/MS(matrix assisted laser desorption/ionization-time of flight mass spectrometry)で測定し、マスフィンガープリンテイング法によりデータベース検索を行った。 【結果と考察】 NN1003A中のD-β-Asp含有タンパク質はalpha B-crystallin, lamin, tau-crystallinと相同性のあるenolase,など、複数存在することが明らかとなった。従来の研究で、我々はタンパク質中でのD-β-Asp生成はAsp残基が5員環イミドを形成し、これを介してラセミ化、異性化をするというメカニズムを明らかにした。本反応はAsp残基がイミド形成をしやすいか、しにくいかが、driving forceとなっている。Asp残基のイミド形成はAspの隣接残基がアラニン、グリシン、セリンのような立体障害の小さいアミノ酸の場合は起こりやすいので、この様なアミノ酸残基が隣に位置しているときはラセミ化、異性化が生じやすい環境といえる。そのような意味でD-β-Asp含有タンパク質の一次配列の決定は重要である。次年度は今回同定されたタンパク質中でAspがD-β-化している部位を決定する予定である。
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Research Products
(6 results)