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2004 Fiscal Year Annual Research Report

古典教育と古典教科書に関する国際比較研究-我国における古典教科書の作成にむけて-

Research Project

Project/Area Number 15652014
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

月村 辰雄  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50143342)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 藤原 克己  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (00135964)
長島 弘明  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (00138182)
片山 英男  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (70114436)
大木 康  東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70185213)
葛西 康徳  新潟大学, 法学部, 教授 (80114437)
Keywords古典 / 古典教育
Research Abstract

日本、中国、ヨーロッパにおける古典のあり方を比較検討すると、古典がけっして単体の著作としては受容されず、他の関連する著作と組み合わされ、いわばワンセットになって社会に受け入れられていることが了解される。この古典体系は、時代と社会のなんらかのイデオロギーによって形成されたものであり、ある古典作品は、かならずこの体系のどこかに位置付けられ、他の作品との関連において意味付けが施されている。
たとえば江戸時代後半の儒学的教養世界においては、四書、五経、左国史漢の順に、さらに場合によっては古文真宝、唐詩選を加えて教えられていたのであるが、この経学、史学、文学という順は朱子学的イデオロギーによる価値付けに即していると同時に、教義的命題、歴史的事実、文学的修辞というディスクールの形式の複雑化にも対応しており、きわめて考え抜かれた合理的な体系であったというべきである。論語は、単なる道徳書であるにとどまらず、経学テクスト群の基本理念として働き、ついで歴史テクスト群の中に確認され、さらに文学テクスト群の中に展開される。したがって論語のみを読んだからといって、江戸時代後半にこの著作が有していた影響力のすべてを理解するには至らないであろう。
同じことは、17〜18世紀のヨーロッパの古典体系についても言える。その典型はイエズス会のコレージュの教育プログラムであるが、はじめにイソップなどの通俗道徳、ついでモラリストたちの友情論や死生観などの一般論考を経て、神話、歴史、地理書などの百科全書的知識が与えられ、最後に修辞学書とキケロやデモステネスの実際の弁論作品へと至るこのカリキュラムは、確固たる思想と知識の上に弁論技術を鍛えるという当時の教育思想に基づいて組織されている。
古典は、単体としてでなく、このように体系として受容されてはじめてその効力を発揮するであろう。

  • Research Products

    (5 results)

All 2005 2004

All Journal Article (4 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 鈔本在明清両代(中国語)2005

    • Author(s)
      大木 康
    • Journal Title

      文学研究的新進路-伝播与接受(東華大学中文系編)

      Pages: 465-480

  • [Journal Article] 比較のレトリック2004

    • Author(s)
      月村辰雄
    • Journal Title

      月刊言語(大修館書店) 10月号

      Pages: 58-65

  • [Journal Article] デジタル時代の読書のゆくえ2004

    • Author(s)
      月村辰雄
    • Journal Title

      季刊・本とコンピュータ(大日本印刷株式会社) 14号

      Pages: 53-59

  • [Journal Article] 古今集の享受と評価の歴史2004

    • Author(s)
      藤原克己
    • Journal Title

      古今和歌集研究集成(風間書房) 第3巻

      Pages: 1-34

  • [Book] 明末江南の出版文化2004

    • Author(s)
      大木 康
    • Total Pages
      268
    • Publisher
      研文出版

URL: 

Published: 2006-07-12   Modified: 2016-04-21  

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