2004 Fiscal Year Annual Research Report
方言アクセント体系の崩壊メカニズムに関する実証的・理論的研究
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15652027
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
窪薗 晴夫 神戸大学, 文学部, 教授 (80153328)
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Keywords | 日本語 / 鹿児島方言 / アクセント変化 / 複合法則 |
Research Abstract |
鹿児島方言におけるアルファベットで始まる語句のアクセントに関する調査を行い、アクセントと音節構造との関係を考察した。鹿児島方言の外来語アクセントは95%がA型(下降調)のアクセントをとると報告されているが、アルファベット複合語句のアクセントはA型とB型(非下降調)が拮抗する結果が得られた。その理由は、アルファベット複合語句のア型がアルファベットそのものの音節構造によって決まり、アルファベットが1音節であれば複合語句全体がB型、多音節であれば複合語句全体がA型となるという規則に従うからである。この規則はアルファベットそのもののア型を反映したものであり、複合語句は初頭要素のア型を継承するという複合法則の結果とみることができる。 1音節のアルファベットがB型アクセントを、多音節のアルファベットがA型アクセントを生成するという原則にはいくつか例外が見られる。1音節構造のアルファベットでも二重母音を含むもの(I, Y, V)は長母音を含むアルファベット(A, B, Cなど)とは異なりA型アクセントを生成する傾向が強く、特にYとVの場合にはほとんどの話者が2音節のアルファベット(F, L, Mなど)と同じア型を示す。また1音節構造のアルファベットの中でもQは例外的にA型アクセントを示した。 これまで語彙的に決定されると考えられてきた名詞のア型が構成要素の音節構造と強い相関関係を示したことは興味深い。今後、このような傾向が鹿児島方言アクセント体系の他の部分に観察されないか、また鹿児島方言と同じ二型アクセントである長崎方言にも観察されるかどうか調査を進める必要がある。
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Research Products
(3 results)