2004 Fiscal Year Annual Research Report
古イチョウのDNA分析からみた中世の日本国内及び東アジアの交流について
Project/Area Number |
15652039
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐藤 征弥 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (00274192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 輝三 徳島大学, 銀杏科学研究舎, 主任研究員 (90057563)
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Keywords | イチョウ / Ginkgo biloba / DNA / ミトコンドリアDNA / 伝来 / 巨樹 |
Research Abstract |
イチョウは文化的,宗教的,民俗的な側面から日本人の生活風土に深く入り込んでいる。しかし,イチョウがいつ頃どのようにして日本に伝わったのか,そしてどのようにして日本各地に広がっていったのかは不明である。現在知り得る限り,日本における最も古い「銀杏」に関する遺物資料は,韓国の新安海底引き揚げ船(1323年に中国の安寧から博多に向う途中に沈没した貿易船)から発見されたギンナンであり,文書記録では,1381年に公家の日記に「銀杏」と書かれているのが初見である。 本研究は,樹齢数百年と考えられる全国の幹周囲6m以上の巨樹から葉を採取し,ミトコンドリアDNAのnad2遺伝子のイントロンの配列を解析してDNAのタイプ分けを行っている。本年度の分析の結果,東京都港区の芝東照宮の樹が新たな変異タイプであることが判明した。この樹は、寛政十八年(1641)芝東照宮の造立に際して徳川家光が植えたものと伝えられ,信頼できる植樹の記録としては現時点では最も古いものである。さらに他にも新たなDNAタイプが見つかり,昨年度まで13種類であったDNAタイプは,今回で計19種類となった。 韓国についての巨樹の調査も進め,周囲6m以上の樹が85本存在すること,そのうちの12本についてDNAタイプの分析を行った。 また,本年度は樹の伝播について関する伝説・伝承の検証も試みた。異所にある樹が元々は同じ樹であるとする同木伝説は,もしDNAタイプが違えば同木である可能性は明確に否定される。そこで法然が植樹に関わる同木とされる3本の樹,および親鸞が関わる同木とされる2本の樹についてDNA分析を行った。その結果,法然に関わる3本のうち1本はDNAタイプが異なり同木ではないこと,そして親鸞が関わる2本は、DNAタイプが異なり同木ではないことが分かり,伝承が伝える内容が事実とは異なることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)