2003 Fiscal Year Annual Research Report
社会主義体制成立期(1944-1956)のポーランドにおける映像メディアと社会
Project/Area Number |
15652042
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Research Institution | Tokyo University of Information Sciences |
Principal Investigator |
柴 理子 東京情報大学, 総合情報学部, 講師 (10337769)
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Keywords | ポーランド / 映像メディア / 社会主義 |
Research Abstract |
本研究が対象とする社会主義体制成立期(1944-1956)のポーランド社会に関しては、1989年の共産党独裁体制の終焉まで史料の公開が厳しく制限されていたため、研究が極めて困難な状況にあった。1989年以降、史料の公開が急速に進むとともにポーランド内外で研究が本格化してきたものの、映像メディアの分析はまだ殆ど体系的にはなされていない。 このような状況をふまえ、本研究においてはまず、国内外の映像資料の所在の確認から始めた。わが国においては、当該時期に制作された映画の一部は各種メディアで公開されてきたが、ニュース映像やドキュメンタリーなどのノンフィクションは断片的にしか紹介されていない。当該時期の映像に映し出されたポーランド社会の全体像を論じるためには、検閲によって公開禁止とされた映像も含めて分析する必要があるが、日本国内では不可能な状況にあることが判明した。このため、本研究が依拠すべき殆どの基礎資料はポーランドで収集せざるを得なかった。 ポーランドでの現地調査(平成16年3月6日〜15日)では、文献調査と併せて、当該時期に関する基本的試料が保存されている「国立現代史史料館」および「ドキュメンタリー・劇映画制作所」付属映像資料館において文書、写真、ドキュメンタリー映像などの渉猟を行った。この作業はまだ中途であるが、当該時期の映像制作をめぐる状況、すなわち制作者の動向、政府の対応、社会の反響の一端を知ることができた。また、劇映画に関しても、日本未公開作品の一部を入手し、そこに見られるポーランド社会の有り様の分析を開始している。
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