2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15653004
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松村 良之 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80091502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 裕子 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助手 (10360885)
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Keywords | 応報 / 抑止 / 矯正 / 不能化 / 公正の心理学 / 懲罰動機 / 行動コントロール / 因子分析 |
Research Abstract |
今年度の主たる研究は、2004年2月実施の懲罰動機についての、成人ランダムサンプルを対象とする留め置き法調査の結果の分析である。そこでは、7種類の懲罰動機の強さが5点尺度で測定された。測定された変数は、(i)応報(罪を犯した分だけその犯罪者に苦痛を与えるのは当然である)、(ii)一般予防(犯罪を犯せばどうなるかを人々に示して、同じ犯罪が起こることを抑制する)(iii)矯正(刑務所に入れて、犯罪者がまっとうな人間になるよう教育する)(iv)復讐(被害者に代わって返しをする)(v)加害者地位低下(罪人というレッテルを貼ることによって、その社会で面目を失わせた方がよい)(vi)被害者地位回復(傷ついた被害者の尊厳、名誉を回復すべきだ)(vii)ルール確認(守るべき社会的ルールをみんなが再確認すべきだ)である。そして、因子分析(主因子法、バリマックス回転)の結果では、一般予防、ルール確認、矯正、応報、被害者地位回復が第1因子として、復讐、加害者地位低下が第2因子として析出された。その意味は、第1因子が、懲罰の公的側面、第2因子が懲罰の私的側面である。これは、ヴィドマーのモデル、そして多くの心理学者の、行動コントロールか応報かというモデルとは異なる知見である。応報的公正の心理学で議論されてきた公正動機としての応報動機に関わるのは第1因子である。実際、因子得点と正当世界信念(被験者の属性として測定されている)が相関するのは第1因子である。また、第1因子は訴訟利用性向(紛争解決場面での行動意図が測定されている)と相関がある。第2因子は権威主義尺度の一部下位尺度と相関がある。今後の課題は、公正動機としての応報動機と解釈される第1因子が、行動コントロールと区別されていないのはなぜかを明らかにし、そこから、応報動機の本質を探求することである。
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Research Products
(1 results)