2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15653021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
曳野 孝 京都大学, 経済学研究科, 助教授 (50301825)
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Keywords | マイノリティ・ビジネス / パチンコ関連事業 / ケミカルシューズ製造業 / フラワー・ビジネス / ドライ・クリーニング業 |
Research Abstract |
平成16年度においては、このプロジェクトの初年度である平成15年度の研究成果に基づいて、マイノリティ企業の国際的展開についての基礎研究をさらに発展させて、最終年度である平成17年度の成果公表に向けての準備を整えた。すなわち、昨年度収集した資料の分析を体系的に行い、マイノリティ企業の成長の経済学的、経営学的考察を行うことと、この分野の他の研究者との連携を深めることによって、この萌芽研究が将来のマイノリティ企業研究の布石となることを今年度の目標とした。 具体的には、まず、マイノリティ企業の発展を特にアメリカ合衆国と日本に焦点を当てて、その歴史的発展と現状の分析を行ない、両国における成長の同一性と差異を明確化した。とりわけ、アメリカにおけるアジア系マイノリティのビジネスに際だっている成長性と、日本における韓国・朝鮮系あるいは中国系移民のマイノリティの諸問題を比較的に考察して、この差異をもたらす諸要因を析出する努力を行った。結果的に結論づけられたことは、両経済における中小企業一般の発展のありかた、すなわちアメリカ合衆国における広義のベンチャー・ビジネスの急成長と日本における同種のビジネスの停滞、とがマイノリティ・ビジネスの成長を大きく規定しているという興味深い点であった。このような一般的な傾向とその要因を理解したのち、両経済におけるマイノリティ・ビジネスが、他の要因をコントロールしても、異なる産業に特化しているという傾向が判明した。たとえば、なぜ韓国・朝鮮系のビジネスが、日本においてはパチンコ関連事業あるいはケミカルシューズ製造業において重要な地位を占め、アメリカ合衆国においてはフラワー・ビジネスおよびドライ・クリーニングに集積しているかは事実としては解明されたが、その要因の考察はこのプロジェクトの最終年度の課題として残されている。 さらに、平成16年度においては、マイノリティ・ビジネス分野の研究者と連携を深めて、お互いのリサーチの関心を体系化することを試みた。これは、最終年度に予定している公開の研究成果報告をより広い研究者層と関心を持つ関係者に行うための準備であり、目標を達成するための十分な成果を上げることができた。
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Research Products
(1 results)