2003 Fiscal Year Annual Research Report
被虐待児のケアと育成を担う専門里親のニーズ把握とIT活用支援プログラムの研究開発
Project/Area Number |
15653039
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
芝野 松次郎 関西学院大学, 社会学部, 教授 (60162640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 容子 大阪薫英女子短期大学, 児童教育学科, 講師 (00352948)
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Keywords | 子ども虐待 / 被虐待児 / 専門里親 / 支援プログラム / IT |
Research Abstract |
本年度は、専門里親の育成プログラム開発におけるその内容と伝達方法を探るためのニーズ調査(141項目の質問紙による直接あるいは郵送配布、郵送による回収)を行った。対象は、近畿地区を中心とした里親登録者とその配偶者367家庭であり、回収部数は195(回収率49.6%)、329名。うち、有効回答数は322であった。回答者の属性は、男性48%・女性52%、平均年齢53歳(範囲20〜87)、児童の受託経験のある者が85%である。 基本属性等に関する質問を除いた質問項目100項目を用い探索的因子分析(主因子法、バリマックス回転)を行った。ただし、各項目のうち共通性と因子負荷が0.35に満たなかった17項目を削除し、最終86項目で再度因子分析を実施し、11因子を抽出した。第1因子は「自身と里子を含む家族内外の困難」、第2因子「主要な社会資源」、第3因子「関連領域・インフォーマルな社会資源」、第4因子「児童福祉領域の社会資源」、第5因子「学童期・思春期の問題」、第6因子「社会的養育の価値」、第7因子「子どもをもつことの姿勢」、第8因子「実親とのかかわり」、第9因子「家庭養護促進協会の援助」、第10因子「身近な人からの援助」、第11因子は「経済的支援」である。 次に、これらの因子のどれが専門里親への関心度と希望度、養子縁組の有無に影響を与えているかを調べるために、因子スコアを用いて、前二者には重回帰分析、後者には判別分析を行った。両回帰分析の最終モデルは、説明力は低いもののフィットはよく、専門里親への関心度に関しては、6「社会的養育の価値」、5「学童期・思春期の問題」、1「自身と里子を含む家族内外の困難」、3「関連領域・インフォーマルな社会資源」、2「主要な社会資源」の順で貢献していることがわかった。専門里親の希望度は、6「社会的養育の価値」、5「学童期・思春期の問題」、2「主要な社会資源」と3「関連領域・インフォーマルな社会資源」の順であった。判別分析では、最終モデルの的中率は76%であった。7「子どもをもつことの姿勢」と9「家庭養護促進協会の援助」が養子縁組をすることに貢献しており、6「社会的養育の価値」、4「児童福祉領域の社会資源」、1「自身と里子を含む家族内外の困難」と8「実親とのかかわり」が養子縁組をしないことに頁献していることが明らかとなった。 次年度は、因子の妥当性を確定的因子分析で明確にした上で、AMOSにより里親のニーズ構造を明らかにし、育成プログラムの骨格をつくり、Web-Site型マルチィメディア研修プログラムを開発する。
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Research Products
(1 results)