2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本的対人コミュニケーション方略の実証的研究 ―状況論的アプローチによる日台米豪比較の検討―
Project/Area Number |
15653042
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高井 次郎 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 助教授 (00254269)
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Keywords | 比較文化 / 関係性要因 / 対人コミュニケーション方略 / 状況要因 / 直接性・間接性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、特定状況において選択される対人コミュニケーション方略を、比較文化的な視点によって検討することである。研究1では、Brown & Levinsonのpoliteness理論にしたがい、相互作用相手との関係性に関わる要因と、相互作用の重要性の要因を変数として含み、2つの状況における直接的および間接的な方略の使用頻度を比較検討した。具体的に、6つの直接的・間接的方略の使用頻度を従属変数とし、2(親密性=親密・疎遠)x2(地位=目上・同等)x2(依頼のコスト=大・小)x2(状況=依頼・断り)x2(文化=日本・米国)の多変量分散分析を実施した。その結果、従来の文化的ステレオタイプである、日本人=間接的と米国=直接的という先入観は概ね確認されず、関係性の要因や状況の要因の効果が、文化の要因よりも大きな影響を及ぼしていることが明らかにされた。特に依頼に関しては、日本人は米国人よりも間接的な方略を好んだが、断りに関しては日本人のほうがより直接的な方略を選好した。全体的な傾向として、米国人よりも日本人のほうが関係性や状況の要因に影響され、米国人のほうが一貫した行動をとっている様子がうかがえた。このことは、日本人は相互作用の相手や文脈を重視していることを示唆しており、こうしたsituational referentと呼べる要因を十分に考慮した上で文化を比較することが大切であることが明らかにされた。
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