2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15653053
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
泉 加代子 京都女子大学, 家政学部, 教授 (50105194)
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Keywords | 高齢者 / ファッション・セラピー / 事例研究 / 介護老人保健施設 / 特別養護老人ホーム / N式老年者用精神状態尺度 / 生活能力 |
Research Abstract |
介護が必要な高齢女性を対象として、日常着の着装アドバイスを行い、服装への関心を高めることによって心身の健康状態の維持・改善を確かめ、ファッション・セラピーの効果を臨床的に実証することを目的として、個別面接法によるファッション・セラピーを実施した。 対象者は、介護老人保健施設(老健)入所者7名、特別養護老人ホーム(特養)入所者2名、在宅1名の計10名の高齢女性で、これらの人選は協力施設に依頼した。面接回数は月1〜2回、面接期間は6ヶ月を1サイクルとした。実施内容は、最初にその日の健康状態や着用している衣服について尋ねた。導入として服装写真を刺激として呈示して、対象者に服装の嗜好を尋ね、装いに関心をもたせた。次に、人台を用いて、対象者が所有する衣服の中から季節に合ったものを選んで、コーディネートのアドバイスをした。対象者が気に入った組み合わせが出来たら着装してもらい鏡で見てもらった。面接中の表情をデジタルビデオカメラで撮影した。また、施設職員に初回と最終回に生活能力評価、N式老年者用精神状態尺度(NMスケール)に記入してもらった。さらに、家族に実施後の日常生活の変化を尋ねた。 6ヶ月後、生活能力に改善がみられたのは老健入所者7名中6名、特養入所者2名中2名の計8名であった。評価が上がった項目は、「清潔」「衣服の着脱」が各4名、「意思伝達」「痴呆」が各3名、「排泄」が2名である。NMスケールに改善がみられたのは、老健入所者7名中5名、特養入所者2名中2名の計7名であった。評価が上がった項目は「見当識」が5名、「家事、身辺整理」「関心、意欲、交流」「会話」が各4名、「記銘、記憶」が3名である。以上のように、何らかの効果が今回の対象者10名中9名に認められた。しかし、1名の在宅者は両スケール共に改善が見られなかった。
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