2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15654005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
土屋 昭博 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (90022673)
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Keywords | 対合をもつ楕円K-3曲面 / 向井ベクトル / 導来圏の安定性条件 / E_8型楕円Artin群 / 導来圏の自己同型群 / (2,10)型のIV型領域 |
Research Abstract |
最近Bridgelandは物理学者Douglasのideaに基づいて導来圏の安定性条件の定義を行い、特にK-3曲面XのO_X群のつくる導来圏D(X)について安定性条件の空間の構造について基本的な結果を得た。 このideaに基づいて、対合を持つ楕円K-3曲面のModuli空間と対合を持つ楕円K-3曲面の安定性条件の空間の比較を行っている。 対合を持つ楕円K-3曲面の向井格子H^*(X:Z)〓U【symmetry】U【symmetry】U【symmetry】U【symmetry】E_8(-1)【symmetry】E_8(-1)において、不変部分H^2(X:Z)^+,反不変部分H^2(X:Z)^-を考えると、genericには、H^*(X:Z)^+=H^0(X:Z)【symmetry】NS(X)【symmetry】H^+(X:Z)〓U【symmetry】U【symmetry】E_q(-2),H^*(X:Z)^-=T(X)〓U【symmetry】U【symmetry】E_q(-2)となり、同型な(2,10)型の格子を得る。この時、この型のK-3曲面の周期領域は、T(X)〓U【symmetry】U【symmetry】E_q(-2)に付随したIV型領域である。一方Bridgelandによると、導来圏D(X)の安定性条件の空間はH^*(X:Z)^+〓U【symmetry】U【symmetry】E_q(-2)に付随したIV型領域から適当な因子を除いた領域の被覆空間Σとなっている。この意味で対合を持つ楕円K-3空間はMirror対称性について閉じていると考えられる。 向井ベクトルν∈H^2(X:Z)^*を固定し、安定性条件σ∈Σのもとで向井ベクトルvを持つσに関して半安定なD(X)の対象全体の空間S_σ(X)を考える。S_σ(X)のσを動かしたときの挙動は重要である。この挙動を現在考察中である。この挙動の決めるΣのchanber構造を決めることが重要である。また、導来圏の自己同型の群AutD(X)はH^*(X:Z)^+,およびΣに作用し、S_σ(ν)はこの作用に関して共変性を持つ。このことを使ってAutD(X)の構造を考察中である。特にAutH^2(X:Z)^+はE_8型の楕円型Weyl群を部分群として持つ。この部分群のAutD(X)への持ち上げは対応するE_8型楕円Artin群と予想し、この事実を確認中である。
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