2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15654020
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
落合 啓之 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (90214163)
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Keywords | 調和振動子 / モノドロミー / Heun / Gelfand / 微分方程式 / 超幾何 / サイクル / 巾零軌道 |
Research Abstract |
本年度は本研究の2年目である。まず、研究目的に挙げた非可換調和振動子のスペクトルの縮退に対応したHeunの微分方程式のmonodromy表現を研究した。monodromy表現は大域的な性質の一つであるが、方程式のパラメータが特別な場合には局所的なデータ[すなわち固有値の退化(縮退)と特異点の種類(apparent vs logarithmic)]によって強い制約を受けることを定式化し証明した。本研究の萌芽的な側面は、『超幾何関数とは何か、超幾何でない関数とは何か』を追求する点にある。Heunの方程式は超幾何的でない方程式の典型例であり、monodromyが決定できる超幾何型方程式との関連は未だ明らかにされていない。上の結果はこの問題に一つの端緒を与えている。 この研究に引き続き、不変固有超関数の不変性の延長に関する研究を行い、結果をオランダの国際研究集会(8月)の招待講演で公表した(外国旅費の活用)。論文は査読を経て報告集に掲載される予定である。さらに、対称対の上の調和解析を拡張した空間に於ける解析を宮地と共同で進めている。この分野は最近の進展が著しく、その中心であるシンガポールへ宮地を派遣し、新しい知見を確認した。得られた成果は論文執筆中である。 その他に、本年度 (1)環のゼータ関数の行列式表示に関連して絶対微分の構造を調べる一環として行列環の絶対微分の構造を決定(黒川信重との共同研究) (2)対称対に対応したテータ持ち上げで現れる表現の随伴多様体とその重複度や次数を決定(西山享、C.B.Zhuとの共同研究) を論文として発表した。
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