2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15654022
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 貴 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (40114516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 弘喜 藤田保健衛生大学, 短期大学, 助教授 (80238740)
久保 明達 藤田保健衛生大学, 衛生学部, 教授 (60170023)
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Keywords | 腫瘍形成 / 血管新生 / 送化性 / 化学的勾配 / 非線形波動方程式 / 無限次元力学系 / reinforced random walk / 爆発機構の量子化 |
Research Abstract |
脈管形成の数理モデルをいくつか検証し、特にreinforced random walkによる統計モデルによる導出法を分析した。これに基づいて、腫瘍の血管新生に関して有力と思われるOthmer-Stevens方程式の解析的研究を手がけることを当面の目標とすることとした。まずこのモデルの送化性勾配の効果を確認するため、モンテカルロ法に基づく数値シミュレーションを試みて、酔歩する粒子が腫瘍中枢にたどり着く様子を視覚化することに成功した。次に、富山大学教育学部齊藤宣一助教授の協力のもとに送化性方程式に関する数値計算法の関する数値解析的研究に取り組み、解の正値性、自由エネルギーの減衰、質量の保存を同時にみたす、数値解法スキームの実現に成功した。これに基づいて、連続モデルの数値シミュレーションを特に空間2次元で行い、物理的な場の形成のもとで爆発機構が量子化するという代表者の数学的理論を視覚化することを試み、特にタイプIの爆発点の存在を示唆する数値例を数多く提出することに成功した。こうしたモデリングとシミュレーションの検証に基づいて生物的な送化性の場形成のもとで粒子の平均場がどのような集積・分散過程をたどるかを数学的に解析することに着手した。代表者は分担者の久保と協力して、Othmer-Stevens方程式に対して強い散逸項をもつ非線形波動方程式の解の減衰理論を適用し、モデル論的に予測され、空間次元などいくつかの制約のもとで成り立つことが知られていたhyperbolic caseでのcollapseの存在を解析的に証明することに成功した。次に分担者の星野と協力し、時間局所解の一意存在を証明することができた。このことからhyperbolic caseで特にLyapunov関数が存在する場合には解の時間大域的な存在が証明されることが期待され、aggregation, blowup, collapseについて無限次元力学系の理論から数学的に統一的に俯瞰することができる可能性が見えてきた。 これらの研究を進展させるため、6月と9月にそれぞれ古屋、金沢において合宿形式の集中セミナーを開催し、また3月には広く数理医学の専門家を招いて「医学数学シンポジウム」を主催し、情報の収集につとめた。また久保は9月にポーランドのBanach Research Centerで1週間開催された腫瘍形成等を主題とした数理医学のワークショップに参加して、collapseの存在に関する研究発表を行うとともに、各国の数理医学の研究動向、特に腫瘍形成に関する数理的な研究に携わる研究者との交流につとめた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] A.Kubo: "Study on the integral equation arising in electroencephalography"Advances in Mathematical Science and Applications. 13. 273-285 (2003)
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[Publications] A.Kubo: "Asymptotic behavior of the solution to a parabolic-ODE system modeling tumour growth"Differential and Integral Equations. (発表予定).