2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15654022
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 貴 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (40114516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野邊 厚 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手
久保 明達 藤田保健衛生大学, 衛生学部, 教授 (60170023)
星野 弘喜 藤田保健衛生大学短期大学, 衛星技術科, 助教授 (80238740)
降旗 大介 大阪大学, サイバーメディアセンター, 助教授 (80242014)
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Keywords | 血管新生方程式 / 固形腫瘍成長方程式 / 崩壊(collapse) / 隆起(aggregation) / 走化性(chemotaxis) / 接触性(chaptotaxis) / 進行波 / Lyapunov関数 |
Research Abstract |
星野と久保の協力のもとに、血管新生に関するOthmer-Stevents方程式の数値シミュレーションをおこない、モンテカルロ法に基づく離散化を適用して、走化性と接触障害による勾配のもとで腫瘍中枢部に向かって粒子が輸送される様子を確認した。また連続モデルに対して有限要素法を適用することによって、遷移的に腫瘍が隆起するaggregationが観察されることを視覚化した。そこで久保と協力して、勾配が楕円型の場合に腫瘍の崩壊(collapse)がおこることを数学的に証明した。この数年前にC.Huaを中心とするWuhanグループによって得られた特別の場合を一般化し、非常に多くのケースでこのようなことが生ずることを示したものである。 一方、この方程式において接触障害の項を除き、走化性に関する知覚関数を線形にした単純形は、1970年代後半にバクテリアの運動に関する数理モデルとしてRascleによって提唱されるとともに数学解析が試みられ、空間1次元の場合に解の時間大域存在が示されていたものと同値であることをつきとめた。この調査に基づいて、更に精力的に数学解析を進め、軌道がコンパクトであることを明らかにした。これによって、この場合(空間1次元で楕円型)には究極的には崩壊となり、隆起は遷移的にのみ現れることが証明されることになり、この画期的な成果によってMinnesotaグループなどで行われている多くの数学的な研究が新たな段階に進むこととなった。 次に、星野と協力してこのOthmer-Stevens方程式において抑制効果因子を取り込んで3成分にした数理モデルの数学解析に着手し、特にLypanunov関数が存在することを証明して、3成分系方程式に対する数学解析の手がかりを得た。また、野邊の協力の下に固形腫瘍の成長に関するAnderson-Chaplain方程式のモデリングを検証すると共に、数値シミュレーションによって示唆された進行波の数学解析について先駆的な考察を行い、問題の数学的適切性の証明に関する示唆を得た。 一方降旗は脈管形成におけるパターン生成問題の一部として定式化されると思われる蛇行流現象について研究を行い、抽象化による数理的研究の試みとして流速ベクトルポテンシャルに基づくモデリングを行ってモデル方程式を導出し、Lyapunov性を再現する数値スキームを作成して数値計算を行って良好な結果を得た。
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Research Products
(8 results)