2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15654037
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉立 徹 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80144806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 徹 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教授 (50253050)
本間 謙輔 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40304399)
志垣 賢太 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70354743)
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Keywords | カイラル対称性 / 媒質効果 / 閾値中性パイ中間子光生成 / タングステン酸鉛結晶 / PWO結晶 / 電磁カロリメータ |
Research Abstract |
中性パイ中間子の崩壊に伴う2つのガンマ線を同時検出する結晶シンチレータ型光子検出器の開発研究を遂行した。タングステン酸鉛単結晶(以下PWOと略す)は、従来型の結晶シンチレータに比較して、数段高い性能を実現することが知られている。他方、結晶を供給する精錬工場は世界で4カ所に限られ、それぞれが精錬する素材の定量的な性能評価が不可欠である。そこで、ロシア国RI&NC社が精錬する単結晶10本(20×20×200mm)を入手し、シンチレータ素材としての基本特性の測定と検討を行った。浜松ホトニクス社製R7056光電子増倍管により、20℃において、2.4光電子/MeVの光量、7.6ナノ秒の蛍光減衰時定数であること、更にそれぞれの特性の温度変化係数を、-3%/℃および-1.5%/℃であることを決定した。古河機械金属の供給する結晶と比較し、光量および時定数は同程度であるが、RI&NC社の結晶は温度変化係数が小さいことを発見した。他方、同結晶は数100Hzで数10MeV相当の残光があり、測定系の設計には注意が必要であることを明らかにした。 RI&NC社製結晶9本を3×3に組み合わせる光子検出器を構築し、広島大学VBL施設・超高速電子周回装置の引き出し電子線ビーム(150MeV)による性能評価実験を実施した。その結果、相対的エネルギー分解能σ/E=(2.60±0.003)%/【square root】E(GeV)、位置分解能σ=(1.6±0.4)mm/【square root】E(GeV)の世界最高レベルの性能を達成した。RI&NC社製検出器と古河機械金属製結晶9本組の光子検出器を、標的核を破産で相対する位置に置き、ビーム電子が標的核の炭素原子核との散乱により生成する中性パイ中間子の観測予備実験を行った。残念ながら、現時点で、有意な事象は見られていない。
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