2004 Fiscal Year Annual Research Report
反転対称性の破れに起因した時間揺らぎを見るためのレーザー分光法の開発
Project/Area Number |
15654058
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 耕一郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90212034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 正伸 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30303803)
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Keywords | 新分光法 / 反転対称性 / 非線形感受率 / 量子常誘電 |
Research Abstract |
1.装置の改良 平成15年度に引き続き反転対称性の破れに起因した時間揺らぎを見るためのレーザー分光法(SHG相関分光法)の改良をおこなった。干渉計の能動安定化を図ることで長時間の揺らぎを抑制することに成功し、〜10psの相関が観測可能になった。 2.量子強誘電体の光照射効果 量子常誘電体チタン酸ストロンチウムSrTiO_3の酸素を同位体置換したSrTi^<18>O_3やSrをCaに置換したSr_<1-x>Ca_xTiO_3の単結晶を作製して、基本的な誘電率の温度変化を測定した結果、20K付近で強誘電性を示すことがわかった。さらに、これらの結晶の紫外光照射効果を調べるために、光吸収、発光、発光減衰、光照射下の誘電率を系統的に調べた。その結果、発光や発光減衰などの基本的な光学特性には変化がないことがわかった。また、紫外線照射下の誘電率測定において、強誘電転移点が高温側にシフトすることを見いだした。これらの結果から、光励起キャリアは強誘電相関を抑制する働きがあることがわかった。反転対称性の破れに起因した時間揺らぎの観点から、この現象を見るために、紫外線照射下でSHG相関分光法の測定をおこなったが、誤差の範囲内で有為な変化は見られなかった。この可能性として、この転移をもたらしている揺らぎが非常に長い可能性が考えられる。この点を、明らかにするために、SHG散乱の時間相関測定を100ピコ秒〜10ナノ秒の範囲で測定可能な実験装置を考案した. 3.軟X線レーザーをもちいた散乱実験 量子常誘電体チタン酸ストロンチウムにおいて期待されている数ナノメートルサイズの反転対称性の破れたドメインを検出するために、関西原研の共同利用で低温化での軟X線スペックルを測定する装置を構築し、動作確認実験を行った。
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Research Products
(3 results)