2003 Fiscal Year Annual Research Report
地層褶曲等による堆積物変形が残留磁化方位に及ぼす影響の評価
Project/Area Number |
15654068
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
岡田 誠 茨城大学, 理学部, 助教授 (00250978)
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Keywords | 古地磁気学 / 岩石磁気学 / 褶曲テスト |
Research Abstract |
本研究では,古地磁気学における「褶曲テスト」が実際に成り立たない場合があることを示し,その現象がおこる条件を明らかにすることを目的としている.このため,本研究申請の発端と成った南房総千倉層群布良層において追加サンプリングを行った. 本年度は,布良層の中で,多数の褶曲構造が発達し,それらの構造がよく確認できる千葉県白浜町の布良浜にて古地磁気測定用試料を採取した.褶曲運動が地層中に含まれる磁性粒子の配列方向へ与える影響を見積もるため,試料採取は,褶曲軸の近傍(数十メーター以内)と,そこから数百メーターはなれた同斜構造の部分の両方で行った.そしてこれらの試料に対して帯磁率異方性測定および古地磁気測定を行った.その結果,同斜構造から採取された試料では,粒子配列が水平につぶれ,異方性楕円体の短軸が垂直方向を向く堆積性ファブリックを示した.またこれらの試料の古地磁気方位は,周辺地域で報告されているものとほぼ同様の方向を示した.これに対して,褶曲軸近傍の試料では,異方性の短軸が褶曲軸方向を軸としてやや回転している様子が明らかになり,古地磁気方位も同方向へ回転していることが確認された. 以上のことから,布良層の場合,褶曲軸から数十メーター以内では褶曲運動の影響で磁性粒子が回転するため,「褶曲テスト」が成り立たないことがわかった.今後,褶曲軸からの距離をかえて追加サンプリングをさらに行い,褶曲運動による粒子回転の影響がどこまで及んでいるかを明らかにする.
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