2004 Fiscal Year Annual Research Report
地層褶曲等による堆積物変形が残留磁化方位に及ぼす影響の評価
Project/Area Number |
15654068
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
岡田 誠 茨城大学, 理学部, 助教授 (00250978)
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Keywords | 古地磁気学 / 岩石磁気学 / 褶曲テスト |
Research Abstract |
本研究では,古地磁気学における「褶曲テスト」が実際に成り立たない場合があることを示し,その現象がおこる条件を明らかにすることを目的としている.このため,本研究申請の発端と成った南房総千倉層群布良層において昨年度に引き続き追加サンプリングを行った. 本年度は,千葉県白浜町の布良浜に分布する布良層の中で,昨年度試料を採取した多数の褶曲構造が発達した地点から北方の同斜構造を示す地層から布良層全域にわたり計35地点で古地磁気測定用試料を採取し,帯磁率異方性測定および古地磁気測定を行った.帯磁率異方性測定の結果,ほぼ粒子配列が水平につぶれ,異方性楕円体の短軸が垂直方向を向く堆積性ファブリックを示した.しかし異方性の各軸方向を詳細に見ると,長軸方向がやや北東-南西方向に分布し,また短軸方向が垂直からやや北東-南西方向に広がった分布をしめした.この北東-南西の方向は,本地域における布良層の褶曲軸方向と一致する.このことは,褶曲構造を作った褶曲軸と直交する北西-南東方向の圧縮応力により,堆積物中の粒子の配列が北東-南西方向にやや伸びた可能性があることを示す.しかしこれらの試料の古地磁気方位には,褶曲軸付近の試料に見られたような明瞭な古地磁気方位の偏向は見られず,応力による粒子の回転の影響は,古地磁気方位に影響を与えるほど大きくは無かったと思われる.以上より,堆積粒子の回転が起こっていないと思われていた褶曲の翼部では,褶曲軸と直交する方向の圧縮応力の影響により,堆積粒子がわずかに褶曲軸方向に回転しているが,古地磁気方位への影響は明瞭ではないことがわかった.
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