2003 Fiscal Year Annual Research Report
ベントコア型配位子の液晶相を反応場とする錯形成モードの制御
Project/Area Number |
15655016
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮島 直美 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10199482)
|
Keywords | ベントコア液晶 / 液晶反応場 / 錯形成反応 |
Research Abstract |
交付申請時の研究実施計画に沿って以下の作業を行った。 1.ベントコア型液晶性配位子の合成とキャラクタリゼーション 3環系サリチルアルディミンをメチレン基で連結した配位子は、非常に特異な光学組織を呈することから、目的のベントコア液晶相を形成していることが期待されていた。組織の検討を進めた結果、分子の連結角が高級同族体のテープ状ドメインモルフォロジーに反映されていることを見出した。これは一次元系(スメクティック)液晶では他に例のない挙動であるため、詳細な構造解析を行った。層構造は確かに形成されているものの、長周期のモジュレーションを生じていることが推測される。 2.ベントコア型液晶の誘電測定 上記の液晶相が当面のターゲットとしていた反強誘電相かどうかを調べる目的で、予備的な電場印加実験を行った。しかし、イオン性不純物の妨害により自発分極の存在は確認できなかった。試料の追加合成・再度精製を進めると共に、さらなる測定に備えて三角波法装置を購入設置した。 3.錯形成反応の予備実験 若干の接触試験を試みた結果、金属塩の存在下では分解的副反応も促進されるようであり、これを抑えるためには150℃程度が上限と見られることがわかった。上記6環系配位子はエステル結合を含むためと考えられ、現在分子設計の改変を検討している。 なお、第8回メタロメソゲン国際シンポジウム(ベルギー、ナミュール)および第53回錯体化学討論会(山形)において成果を発表し、ベントコア液晶の最新の発展について情報収集を行った。
|