2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子スイッチ機能をもつヘテロバイメタリック錯体の開発
Project/Area Number |
15655020
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永島 英夫 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (50159076)
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Keywords | スイッチ / 光異性化 / 熱異性化 / ヘテロバイメタリック / クラスター |
Research Abstract |
スイッチ機能をもつ分子の開発は、次世代デバイスの概念構築、ならびに実現の重要な鍵を握っている。本研究は、光あるいは熱を刺激剤とすると、複核構造をもつ有機金属錯体の金属-金属結合が活性化され、複核金属種が共役π電子系の配位位置を可逆的に変化させるハプトトロピック転位や、複核金属錯体と常磁性金属錯体との間で、金属-金属結合の組み換え反応をおこすという発見をもとにした分子スイッチ機能の発現を目的としている。昨年度の成果として、熱および光刺激により可逆的な構造変化を起こすアセナフチレン類を配位子とする鉄複核錯体の光スイッチ機能と、チタン(III)アルコキシド-コバルトジカルボニル錯体系における熱烈な金属組み換え反応に基づくヘテロバイメタリック系分子スイッチ合成の基礎的な知見を得ている。本年度は、とくにヘテロバイメタリック系分子スイッチの合成と機能に集中して検討をおこない、とくにチタン(III)錯体上の配位子を系統的に変化させ、チタン錯体と反応して金属-金属結合の組み換えをおこす複核カルボニル錯体(ルテニウム、モリブデン、タングステン、コバルト)との反応、ならびに、その生成物をていねいに検討し、とくにチタン上のシクロペンタジエニル基上の置換基や、チタンに結合しているアルコキシド基の電子的、立体的な要因が、熱的なヘテロバイメタリック錯体の可逆的生成の可否、および、平衡比に大きな影響を与えることを系統的に明らかにした。電子的にはチタン上の電子密度を高くする配位子はど、ヘテロバイメタリック錯体の生成に有利であり、また、立体障害が大きい場合はヘテロバイメタリック錯体の生成が阻害される。とくにコバルトカルボニルとの反応では、生成する2種類のヘテロメタリック生成物の生成比が、チタンの立体的要因に影響されることが明らかとなった。
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