2003 Fiscal Year Annual Research Report
生きた細胞内のG蛋白質情報伝達の活性化を可視化する蛍光プローブ分子
Project/Area Number |
15655023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 守俊 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00323501)
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Keywords | G蛋白質 / GPCR / エフェクター / 蛍光プローブ / FRET |
Research Abstract |
本研究では,生きた細胞において最も主要な情報伝達の一つであるG蛋白質情報伝達を可視化検出する新規蛍光プローブ分子を開発し,蛍光顕微鏡下の単一細胞内の情報伝達を分析することを目的としている.昨今のゲノム解析(ヒト遺伝子総数は3〜4万)により,G蛋白質連結型受容体(G-protein coupled receptor ; GPCR)は1000種類にも及ぶ巨大な遺伝子ファミリーを形成しており,それぞれが,グルタミン酸・ドーパミンなど多くの神経伝達物質,ペプチド及びステロイドホルモン,嗅覚物質,味覚物質など受容体であることが明らかになっている.この1000種類に及ぶGPCRはGq,Gs,GiのいずれかのG蛋白質に結合しており,リガンド依存的に対応するG蛋白質を活性化して,この活性化したG蛋白質がさらに下流の蛋白質(エフェクター)と結合しその活性をコントロールする.従って,G蛋白質とエフェクター蛋白質との相互作用を検出するFRET型の蛍光プローブを開発すれば当該目的を達成できると考えて研究を始めた.本研究初年度にGqの活性化を検出するプローブをデザイン,それをコードするcDNAを遺伝子工学的手法を用いて作製した.このcDNAを生きた細胞内に導入してプローブ蚤白質を発現させ,この細胞をリガンド刺激して得られるFRET応答を指標にプローブの評価を行った.現在までにGqについて多数のプローブデザインを評価・検討し,大きくFRET応答を示す蛍光プローブを見出している.この蛍光プローブが,生細胞内で種々Gq連結型GPCRの活性化を可視化できることを示した.今後はGqプローブ開発の際の知見に基づいて,GsおよびGiプローブを開発する予定である.それらGq,Gs,Giの三種類のプローブをそれぞれ用いることにより,ほとんどのGPCRの活性化を可視化できると考えている.
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[Publications] M.Awais, M.Sato, K.Sasaki, Y.Umezawa: "A Genetically Encoded Fluorescent Indicator Capable of Discriminating Estrogen Agonists from Antagonists in Living Cells"Analytical Chemistry. (In press).