2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15655031
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
谷口 裕樹 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教授 (50217139)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 正人 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (20343163)
|
Keywords | 炭酸ハーフエステル / 原子効率 / 炭酸エステル / フェニルアセチレン / アリルアルコール誘導体 / 二酸化炭素 / 環状カーボナート / アルコール |
Research Abstract |
二酸化炭素と二分子のアルコールを反応させると炭酸エステルと水が生成する事が知られている。しかしこの反応は可逆反応であり、水の生成により触媒の失活等がおこり、反応は効率的に進行しない。そこで二酸化炭素と一分子のアルコール(ROH)の反応により生成すると考えられる炭酸ハーフエステル(ROCOOH)と不飽和炭化水素の反応により、炭酸エステルを得る新規な反応を検討した。本反応によれば水の副生は無く、原子効率は100%の反応である。まず、各種金属触媒の存在下、アルコール類と二酸化炭素及びアセチレン類の反応を試みた。エタノールとフェニルアセチレンの反応ではエチルスチリルカーボナート(EtOCOOCH=CHPh)が生成物として期待されるが、種々反応条件を検討した結果、炭酸エステル類は生成せず、フェニルアセチレンの多量体(エンイン体、環化三量化、重合体)が生成し、アルコールと二酸化炭素との反応により生成する炭酸ハーフエステルの付加体の生成は全く生成しなかった。しかし、アルコールとしてtert-ブタノールを用いた場合、二酸化炭素は反応に関与しないものの、フェニルアセチレン二分子の反応が進行し、1,3-ジフェニルプロペンが生成する新反応を見出した。この反応については、炭素数が1個減少した生成物であるので、現在、反応機構について詳細な検討を行っている。また現在、不飽和炭化水素としてアセチレン類を用いる代わりにアルケン類を用いる反応を検討している。分子間で反応を行うよりも、分子内環化反応により環状カーボナートを得る反応のほうが有利と考え、アリルアルコール誘導体と二酸化炭素の反応について、種々の酸触媒を用いて反応を行っている。現在のところ、対応する環状の炭酸エステルは得られていないが今後、各種触媒を用いて二酸化炭素の圧力を上げて反応を検討する。又、二酸化炭素よりも反応性の高い二硫化炭素との比較実験も行う予定である。
|