2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15655055
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大崎 壽 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員(常勤形態) (70345130)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 俊也 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00334350)
|
Keywords | 光触媒 / 酸化チタン / 光学多層膜 / スパッタ成膜 / 光親水化 |
Research Abstract |
本研究においては、光触媒活性酸化チタンの活性の向上を、光学干渉により紫外光の利用効率を増加させることにより達成することを目標としている。 光学多層膜を作製するために、スパッタ法を採用し、スパッタガス圧力を4Pa近傍とした条件で作製した酸化チタンが高い光触媒活性を持つことを見いだした。酸化チタンの光触媒活性は、X線回折的結晶性や高密度とは相関を持たないが、暗所における電気抵抗率と相関を持つことがわかった。導電性は酸素欠損により生じることから、原子構造レベルの欠陥が電子-ホールの再結合中心として働いていることが示唆された。 得られた高い光触媒活性を持つ酸化チタン層において光閉じ込め効果を持つ光学多層膜として、アルミ反射鏡を選択した。実際に作製した薄膜の光学定数をエリプソメトリー法により解析し、可視光反射率が高く、また、可視光領域での反射スペクトルの平坦性を維持しながら、しかも、酸化チタンが吸収する近紫外領域でのみ反射が抑えられるように設計した。得られた膜構成は、Glass/80nm Al/25nm SiO_2/60nm TiO_2である。 当初の計画では、上記が平成15年度までの達成目標であったが、これを成功裏に為し得たため、平成16年度計画分の一部をさらに前倒しに進めた。その結果を以下に記す。 設計膜構成に基づき、アルミ反射鏡を作製したところ、ほぼ設計通りの光学特性が得られた。酸化チタンによる吸収フォトン数は、単膜に比べて1.7倍に増加していることが算出された。また、イソプロピルアルコールの光触媒分解速度を比較した結果、分解速度は1.3倍向上していることが確認された。さらに、水接触角の逆数の時間変化により評価した親水化速度については、酸化チタン単膜の3.3倍に改善されていることが確認された。
|
-
[Publications] T.Nuida, N.Kanai, K.Hashimoto, T.Watanabe, H.Ohsaki: "Enhancement of Photocatalitic Activity using UV Trapping Effect"Proc.7th International Symposium on Sputtering & Plasma Processes. 483 (2003)
-
[Publications] T.Nuida, N.Kanai, K.Hashimoto, T.Watanabe, H.Ohsaki: "Enhancement of Photocatalytic Efficiency with Light Trapping"Proc.21st International Conference on Photochemistry. 386 (2003)
-
[Publications] H.Ohsaki, T.Nuida, N.Kanai, T.Watanabe, K.Hashimoto: "Enhancement of Photocatalytic Activity using an Optical Interference Effects"Proc.8th IUMRS International Conference on Advanced Materials. 98 (2003)
-
[Publications] T.Nuida, N.Kanai, K.Hashimoto, T.Watanabe, H.Ohsaki: "Enhancement of Photocatalitic Activity using UV Trapping Effect"(in press). (2004)
-
[Publications] 大崎壽, 渡部俊也, 橋本和仁(分担執筆): "図解 光触媒のすべて"工業調査会. 308 (2003)