2003 Fiscal Year Annual Research Report
病原性細胞の産生する糖鎖を用いる抗体作成に関する基礎研究
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15655060
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
畑中 研一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70167584)
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Keywords | 糖鎖ポリマー / 糖鎖プライマー / 糖鎖伸長 / 糖脂質 / メラノーマ細胞 / フルオロカーボン |
Research Abstract |
β型のラクトースプライマーにシアル酸を転移してGM3型の糖鎖を作ることがわかっているB16メラノーマ細胞を用いて、αグルコシド、βグルコシド、αガラクトシド、βガラクトシド、αラクトシド、βラクトシドのドデシルグリコシドプライマーに対する糖鎖伸長を試みた。βグルコシドプライマーを培地中に添加すると細胞が死滅するが、αグルコシドプライマーでは何も起こらなかった。βガラクトシドプライマーにはシアル酸の転移が起こるのに対して、αガラクトシドプラィマーでは何も起こらなかった。さらに、ラクトシドプライマーはαもβもシアル酸転移が起こった。以上のことより、B16細胞においてシアル酸転移が起こるためには、βガラクトシドユニットが重要であることが判る。また、同様の条件で、長鎖アルキル基の半分をフッ素で置換したプライマーにもシアル酸転移が起こった。これは、フッ素を含むアグリコンを有するグリコシドが細胞内に取り込まれた最初の例であり、細胞内の糖転移酵素によって糖鎖伸長が行われた初めての例である。フッ素を含む化合物に対する合成反応は、有機溶媒を使わないグリーンケミストリーの観点からも興味深い。アジド基を有するプライマーに対してもシアル酸転移が起こった。アジド基を有するプライマーは、糖鎖伸長後に糖質高分子や糖脂質類似体への変換が可能であると考えられる。例えば、アジド基は還元するとアミノ基に変換できるため、12-アジド化合物からは機能性糖鎖ポリマー生産が可能であるし、2-アジド化合物からは生理活性の糖脂質類似体を合成できると考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.C.Z.Kasuya, K.Hatanaka, et al.: "Fluorous-tagged compound : a viable scaffold to prime oligosaccharide synthesis by cellular enzymes"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 316. 599-604 (2004)
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[Publications] K.Katsuraya, K.Okuyama, K.Hatanaka, et al.: "Constitution of konjac glucomannnan : chemical analysis and 13C NMR spectroscopy"Carbohydr.Polym.. 53. 183-189 (2003)
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[Publications] A.Kai, M.Kikawa, K.Hatanaka, et al.: "Biosynthesis of hetero-polysaccharides by Pestalotiopsis microspora from various monosaccharides as carbon sorce"Carbohydr.Polym.. 54. 381-383 (2003)
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[Publications] 石原一彦, 畑中研一, 山岡哲二, 大矢裕一: "バイオマテリアルサイエンス"東京化学同人. 206 (2003)