2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムオキシゲナーゼと鉄ポルフィセン複合体による新しい生体分子触媒の創製
Project/Area Number |
15655065
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林 高史 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (20222226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久枝 良雄 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70150498)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ / 人工ヘム / ポルフィセン鉄錯体 / 酸化酵素 |
Research Abstract |
ヘムオキシゲナーゼはヘム分子を代謝分解する酵素として、近年特に注目されている。この酵素はヘムを基質として取り込み、ヘム上で発生する活性種(Fe-OOH)の形成を支援し、ヘムからビリベルディンへの酸化分解を促すことが明らかとなってきた。本研究では、非分解性の人工ヘム分子を合成し、ヘムオキシゲナーゼを単なるヘム分解酵素としてではなく、様々な基質に対する有用な酸化酵素として変換することを目的としている。 本年度は、ヘムオキシゲナーゼにヘムの代わりとしてポルフィセン鉄錯体を挿入することを検討した。ポルフィセンはポルフィリンの構造異性体であり、ポルフィリンと同様に4つのピロールユニットが環状につながった金属配位子であるが、ポルフィリンのようにメソ位(ピロール環どうしをつなぐメチレン架橋部位)が存在しない。ヘムオキシゲナーゼに対するヘムの酸化分解反応点はメソ位にあることから、ポルフィセン骨格を有する鉄錯体はヘムオキシゲナーゼに結合するものの、分解しないと予想される。今回は天然のヘムに近い形である2つのプロピオン酸側鎖を側鎖に有するポルフィセン鉄錯体を合成した後に、実際にヘムオキシゲナーゼとポルフィセン鉄錯体の結合挙動を評価した。ヘムオキシゲナーゼの溶液にポルフィセン鉄錯体の溶液を滴下することにより、電子スペクトルの変化が起き、ポルフィセン鉄錯体がヘムオキシゲナーゼの近位ヒスチジンと配位結合して安定な複合体を形成することが明らかとなった。この複合体については、UV-vis及びESI-TOF Massスペクトルによって同定した。次年度は、このポルフィセン鉄錯体を有するヘムオキシゲナーゼを用いて、酸化触媒活性を評価する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takashi Hayashi: "Enhancement of Peroxygenase Activity of Horse Heart Myoglobin by Modification of Heme-propionate Side Chains"Chem.Lett.. 32. 496-497 (2003)
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[Publications] Takashi Hayashi: "Synthesis, Structure and Chemical Property of a First Fluorine-Containing Porphycene"Org.Lett.. 5. 2845-2848 (2003)
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[Publications] Takashi Hayashi: "Synthesis, Characterization, and Autoreduction of a Highly Electron-Deficient Porphycenatoiron(III) with Trifluoromethyl Substituents"Inorg.Chem.. 23. 7345-7347 (2003)
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[Publications] Takashi Hayashi: "Role of Heme-Propionate Side Chains in Myoglobin Function"J.Inorg.Biochem.. 96. 50 (2003)
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[Publications] Hideaki Sato: "Hybridization of Modified-Heme Reconstitution and Distal Histidine Mutation to Functionalize Sperm Whale Myoglobin"J.Am Chem.Soc.. 126. 436-437 (2003)
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[Publications] Takashi Hayashi(分担): "Zinc Containing Enzyme and Their Models"Marcel Dekker, New York. 9 (2004)