2003 Fiscal Year Annual Research Report
中性子スピンエコー法による高分子グラフト鎖のナノスケールダイナミクス
Project/Area Number |
15655081
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金谷 利治 京都大学, 化学研究所, 教授 (20152788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田崎 誠司 京都大学, 工学部, 助教授 (40197348)
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Keywords | 高分子ミセル / グラフト鎖 / 中性子小角散乱 / 中性子スピンエコー法 / ダイナミクス / 呼吸モード / 協同運度 / Zimmモード |
Research Abstract |
今年度は,ポリブタジエンと重水素化ポリスチレンのジブロック共重合体が選択溶媒中で形成する高分子ミセルについて小角中性子散乱と中性子スピンエコー法を用いてその形状とダイナミクスを調べた。溶媒に重水素化デカンを用いることにより、コロナ部分にコントラストを付けて測定をした。まず、孤立ミルの形状を明らかにするために、粒子間干渉が無視できる0.2wt%という低濃度で小角散乱中性子散乱測定を行い、形状因子を解析した。絶対散乱強度の測定からミセルを形成に対するジブロック共重合体の会合数を評価したところ約80であることが分かった。さらにコアシェルモデルを仮定することにより、一切のフィッティングを行わずミセル形状を定量的に再現しうる形状パラメーターを決定した。つぎに、ミセルのダイナミクスを調べたが、以前に測定したポリイソプレンと重水素化ポリスチレンの系に観察された「呼吸モード」は観察されずに、溶液中の高分子鎖の運動を記述するのに用いられるZimmモードが観測された。呼吸運動は何本もの高分子鎖が連係して運動することにより起きる協同運動である。今回測定したポリブタジエンと重水素化ポリスチレンのジブロック共重合体のミセルはその表面の高分子鎖の密度が以前の以前に測定したポリイソプレンと重水素化ポリスチレンの系比べで小さいため、協同的な運動ができなくなり、一本鎖の運動を記述するZimmモードが観測されたと考えられる。また、まだ解析が進んでいないが、シリカ微粒子表面にグラフとした高分子鎖についてのスピンエコー測定も行った。
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