2003 Fiscal Year Annual Research Report
柔軟な結晶を有し、液体ヘリウム温度で強靭な高分子材料の創製
Project/Area Number |
15655083
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西野 孝 神戸大学, 工学部, 助教授 (40180624)
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Keywords | 高分子 / 極低温 / 柔軟性 / 力学物性 / 強靭性 / 液体ヘリウム温度 / エネルギー弾性 / 高弾性 |
Research Abstract |
平成15年度は,(1)液体ヘリウム温度で柔軟な結晶を有する高分子の探索と,(2)液体ヘリウム温度での高分子材料の強靭性を評価するための装置の試作を行った。 (1)に関しては,既存の試作装置を用いてさまざまな高分子の結晶弾性率の評価を進めている。これまでのところ,他の高分子に比較して,ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)の分子鎖軸方向の結晶弾性率が常温(25℃)で著しく低いこと(2.59GPa),極低温(18K)においても高々5.4GPaにまでしか増加しないことを見出した。さらに極低温でも結晶領域を5%以上可逆的にひずませることが可能であった。その他の材料ではひずみにして1%程度までであったのに比較して,この高分子の示す高ひずみ,低弾性率は,まさにPTTがエネルギー弾性に基づく柔軟性高分子材料として極めて有力な候補になりえることを意味している。 (2)に関して本年度は,装置として,i)極低温(18Kを目標とする)まで冷却可能なこと,ii)真空下で試料に応力を付加できること,iii)既存の引張り試験機に附属させることが可能なこと,の条件のもと,まず装置の設計からはじめた。設計に基づいて装置を試作し,同装置が当初の冷却能力,応力付加能力を満たしていることを確認した。現在,試料取り付け部位の微調整を行っており,来年度には当初予定している高分子材料の強靭性評価を行う予定である。この際,まずは(1)で見出したPTTを手始めとして,さまざまな高分子材料を評価の対象とする。 このように現在までのところ本研究は当初計画を遂行すべく順調に推移している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takashi Nishino: "Cryogenic tensile tester for polymer"Review of Scientific Instruments. 未定(発表予定).
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[Publications] Takashi Nishino: "Cryogenic crystal modulus of poly(trimethylene terephthalate)"Journal of Polymer Science, Polymer Physics Edition. 未定(発表予定).