2003 Fiscal Year Annual Research Report
高圧水素中で反応合成したリチウム系化合物での超伝導機能
Project/Area Number |
15656001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
折茂 慎一 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (40284129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中森 裕子 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90359539)
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Keywords | 水素化物 / 超伝導 / リチウム / 硼炭化物 / 欠損 / 原子振動 / ナノ構造 / 水素貯蔵材料 |
Research Abstract |
本研究では、高圧水素中でLi_xBC(x<1)の反応合成を進め、1)水素の固溶、2)Li水素化物の形成、3)Li水素化物の析出によるLiの部分欠損、および4)Li欠損サイトへの水素の導入、などの多様な水素処理によって、これまで報告の無いLi_xBC(x<1、特にx〜0.5)の単相試料を合成して、理論予測されている超伝導特性(T_c=100K)の出現の有無を明らかにすることを目的とする。 本年度は、Li_xBC(x<1)の反応合成条件と構造・物性との相関を明確化した。出発原料として、Li水素化物(LiH)、アモルファスB、そしてグラファイトCを選定した。LiHを用いることの優位性は、合成温度に応じた水素圧力の制御によりLiHの水素解離温度を調整してLiの蒸発・酸化を抑えることができる、さらには水素(電荷)の導入によりLi欠損の生成を促進することができる、などがあげられる。反応合成後得られたLi_xBCは、粉末X線回折測定により純良な単相試料であることを確認した。また、Liの部分欠損によって、格子定数aはほとんど変化しないが格子定数cは欠損量に依存して減少することも確認した。 Li_xBC(x<1)の帯磁率測定では、パウリ常磁性あるいは小さな反磁性が見られたが、現段階では超伝導に起因するマイスナー効果は確認されなかった。これは、顕微レーザーラマン分光測定により確認されたB-Cストレッチング以外の原子振動モード(低対称構造、あるいは積層欠陥)に起因するのもと考えている。今後、合成後の水素雰囲気アニールやナノ・サブナノ構造の制御などにより、構造・物性を最適化する予定である。 また、今回合成したLi_xBC(x<1)において世界に先駆けて水素貯蔵機能も確認しており、大気中でもハンドリング可能な新たなリチウム系水素貯蔵材料としても期待できる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Nakamori, S.Orimo: "Synthesis and characterization of single phase Li_xBC (x=0.5 and 1.0) using Li hydride as a starting material (short communication)"Journal of Alloys and Compounds. (印刷中). (2004)
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[Publications] S.Orimo, Y.Nakamori, A.Zuttel: "Material properties of MBH_4 (M = Li, Na, and K)"Materials Science and Engineering B. 108. 51-53 (2004)
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[Publications] Y.Nakamori, S.Orimo: "Li-N based hydrogen storage materials"Materials Science and Engineering B. 108. 48-50 (2004)
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[Publications] 中森裕子, 折茂慎一: "リチウム系水素貯蔵材料の開発"日本原子力学会誌(特集). (印刷中). (2004)
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[Publications] 中森裕子, 折茂慎一: "リチウム-水素系材料での新たな機能設計"まてりあ(日本金属学会会報). 42・11. 822-828 (2003)