2003 Fiscal Year Annual Research Report
極低温電子顕微鏡による化学的凝集法を用いた金属ナノロッド生成過程の研究
Project/Area Number |
15656005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 哲也 京都大学, 化学研究所, 助手 (40224109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯田 正二 京都大学, 化学研究所, 教授 (00168288)
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Keywords | 極低温電子顕微鏡 / ナノロッド / 界面活性剤 |
Research Abstract |
化学的凝集法による金ナノロッドの生成過程を調べるため、極低温電子顕微鏡法・高分解能電子顕微鏡法・電子線回折法・紫外可視吸収分光法を用いた観察を行った。 金ナノロッドの作製には、界面活性剤のセチルトリメチルアンモニウムプロミド(CTAB)を加えた塩化金酸水溶液に金コロイド溶液を種結晶として滴下し、アスコルビン酸水溶液を加えて塩化金イオンを還元することによりナノロッドを成長させた。CTAB濃度は1〜300mMの間で作製した。 金ナノロッドを含む溶液は紫外可視領域に表面プラズモンによるピークを示すので、その時間変化を調べ、30分程度で還元反応が終了することを確認した。 還元終了後に生成微粒子のCTAB濃度による形態変化を調べたところ、低濃度ではナノロッドは観察されず、球状ないしはそれらが凝集してできたいびつな粒子が観察された。一方、高濃度ではナノロッドが生成し、濃度が高いほど長いナノロッドが観察された。また、高濃度ではファセットがはっきりした微粒子が同時に生成する。 高分解能電子顕微鏡法・電子線回折法によれば、これらのナノロッドの長軸方向は[110]方向であり、電気化学的手法により作製される金ナノロッドとは成長方向が異なっている。 金ナノロッドを含む溶液を急速凍結して、極低温電子顕微鏡で成長途中の状態を観察した。還元開始1分後には、長さ20nm程度の小さなナノロッドが生成しており、還元の進行とともに異方的な成長速度を示した。また、電子顕微鏡の焦点を大きくずらすことによりコントラストの低いCTABミセルの観察を試みたところ、球状ないし短いワーム状のミセルしか観察されなかった。これは、ロッド状のミセルがテンプレートになるという考え方よりも、CTABの金結晶への吸着の度合いが結晶面により異なり成長に異方性がでてロッドができるという考えを支持する。
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