超高速衝突によるマイクロ波発生現象の解明と応用

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15656024
• Research Institution: Japan Aerospace Exploration Agency
• Principal Investigator: 高野 忠 独立行政法人宇宙航空研究開発機構(宇宙研), 宇宙情報・エネルギー工学研究系, 教授 (80179465)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 杉田 精司 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80313203) ; 横田 俊昭 愛媛大学, 理学部, 教授 (80033851) ; 藤原 顕 独立行政法人宇宙航空研究開発機構(宇宙研), 固体惑星科学研究系, 教授 (70173482)
• Keywords: マイクロ波発生 / 超高速衝突 / 極短パルス / 受信機 / 発生電力 / 速度依存性 / 物質依存性 / 岩石破壊

Research Abstract

先に、デブリなどの高速物体が金属板に衝突する際、電磁波が放出される現象を見いだした。
今年度は、受信機における入出力特性の校正を行い、観測に適する系を構成した。また、記録装置の高性能化により、高い時間分解能での観測を可能とし、放射が極短パルスであることを突き止めた。
衝突速度を4段階で変えて、マイクロ波放射を観測したところ、放射電力は速度の2乗より高い依存性を持つ(7から9乗)ことを明らかにした。衝突標的として、種々の材質について実験を行い、物質定数依存性について検討した。放射電力が標的の導電率、密度にほぼ比例することを見いだした。1MHzから22GHzまでの4つの周波数帯で同時観測することで、放射の周波数依存性を検討した。全帯域において信号は観測され、そのスペクトルは2GHz帯が最も高いことが明らかにされた。
衝突によるプラズマ発生を避けるため、静圧力により岩石を破壊してマイクロ波検出実験を行った。同じような放射現象が得られた。
これらの実験事実を基に、物体の破壊に伴う放電によってマイクロ波が放射されるメカニズムを提案した。放出モデルから放射電界、出力電圧の理論値を計算すると、周期等波形の特徴が実験値と一致することを示した。
なお、補助金により購入したマイクロ波発生器は、受信機の校正に使用された。

Research Products

• [Publications] 菅原章, 高野忠, 花山英治, 上芳夫: "無給電素子を装荷することによる開口面間隙の電気的補償法の検討"電子情報通信学会論文誌. vol.J86-B, No.3. 519-526 (2003)
• [Publications] A.Sugawara, Y.Kami, T.Takano, E.Hanayama: "Investigation of the Radiation Characteristics of an Ultra-Large Antenna for Space Use"21^<st> Intn'1 Commu.Satellite System Conf.And Exhibit. AIAA 2003-2301. 1-4 (2003)
• [Publications] K.Maki, E.Soma, M.Toshinai, T.Takano: "Microwave emission due to hypervelocity impacts and its dependence on target materials"2003 Asia-Pacific Microwave Conference. vol2. 587-590 (2003)
• [Publications] A.Sugawara, T.Takano: "Analysis of the Radiation Characteristics of an Ultra-Large Array Antenna Consisting of the Element Apertures for Space Use"IEEE AP-S Symp. (2003)
• [Publications] T.Takano, A.Sugawara, S.Sasaki: "System considerations of onboard antennas for SSPS"JUSPS'03. July. 110-117 (2003)
• [Publications] T.Takano: "Needs for gigantic antennas for space use and their technical problems"ICATT03. September. 63-67 (2003)
• [Publications] T.Takano: "Japanese Leonids observation (summary)"IADC21. March(講演). (2003)
• [Publications] T.Takano: "Frontiers of radio engineering to support space activities"Proceeding of International Symposium on Electronics for Future Generations. March. 449-456 (2004)
• [Publications] 加茂紀征, 菅原章, 高野忠: "半波長素子近傍にある無給電素子を強く励振するための配置法"2003年電子情報通信学会総合大会. B-1-187. 187 (2003)
• [Publications] 菅原章, 高野忠, 花山英治, 上芳夫: "六角形開口面素子からなる超大形アレーアンテナの放射特性の解析"2003年電子情報通信学会総合大会. B-1-218. 218 (2003)
• [Publications] A.Thumvichit, A.Sugawara, T.Takano: "Analysis of a bent wire antenna laid on planes with right angle crossing"2003年電子情報通信学会総合大会. B-1-159. 159 (2003)
• [Publications] 牧謙一郎, 相馬央令子, 十枝内愛, 高野忠, 矢守章: "超高速衝突における電波放射のターゲット材質依存性"2003年電子情報通信学会総合大会. B-1-16. 16 (2003)
• [Publications] 上原晃斉, 高野忠: "レーザ高度計へのカルマンフィルタの適用"2003年電子情報通信学会総合大会. B-2-71. 330 (2003)
• [Publications] 加茂紀征, 菅原章, 高野忠: "無給電素子を有する半波長素子アレーの最適化手法"2003年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会. B-1-80. 80 (2003)
• [Publications] Arpa Thumvichit et al.: "Radiation characteristics of a horizontal dipole antenna near a conductor plane"2003年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会. B-1-157. 157 (2003)
• [Publications] 矢島辰朗, 高野忠: "着陸機の振れ角度を考慮した高度計データの誤差解析"2003年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会. B-2-13. 259 (2003)
• [Publications] 牧謙一郎, 相馬央令子, 石井健太郎, 高野忠, 吉田真吾, 中谷正生, 桑野修: "岩石破壊におけるマイクロ波放射の観測"2003年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会. B-1-29. 29 (2003)
• [Publications] 高野忠, 岩田勉, 中島厚: "宇宙開発活動と応用・ミッションの発掘"第47回宇宙科学技術連合会講演会. 2B9. 748-751 (2003)
• [Publications] 相馬央令子, 石井健太郎, 牧謙一郎, 高野忠, 矢守章: "マイクロ波によるデブリ衝突検出系の検討"03第47回宇宙科学技術連合会講演会. 1E7. 318-321 (2003)
• [Publications] 岩田隆浩, 米倉克英, 並木則幸, 花田英夫, 野田寛大, 浅利一善, 河野宜久, 山本善一, 高野忠: "SELENE小型衛星Rstarmの臼田局適合性試験による測月ミッションの実証"03第47回宇宙科学技術連合会講演会. 1H14. 576-577 (2003)
• [Publications] 石井健太郎, 牧謙一郎, 相馬央令子, 高野忠, 吉田真吾: "岩石破壊における発生エネルギーの推定と宇宙からの観測可能性"地震国際フロンティア研究最終報告会、地震電磁気研究総合シンポジウム. 12月(ポスター). (2003)
• [Publications] 高野忠: "光ワイヤレス通信-隙間から主流への胎動"第23回光産業技術シンポジウム. 12月. 31-49 (2003)
• [Publications] 高野忠: "光ワイヤレス通信と赤外線技術"電気学会赤外線技術調査委員会. 12月19日(講演). (2003)
• [Publications] 高野忠: "小惑星探査機用通信システム"次期小天体探査WG準備会議. 1月29日. (2004)
• [Publications] 高野忠, 吉川真, 矢野創: "人工衛星による流星・彗星の観測"始原天体小研究委員会. 1月. (2004)
• [Publications] 高野忠: "宇宙活動・ビジネスと技術開発"東大阪宇宙関連開発研究会. 2月2日(講演). (2004)
• [Publications] 相馬央令子, 石井健太郎, 牧謙一郎, 高野忠, 矢守章: "マイクロ波によるデブリ衝突検出系の提案"宇宙利用シンポジウム. 1月8-9日. (2004)
• [Publications] 矢島辰朗, 高野忠: "着陸機の傾き、距離の同時推定法の提案"宇宙科学シンポジウム. 1月8-9日(ポスター). (2004)
• [Publications] 高野忠, 水谷仁, 佐々木進, 西尾文彦, 河野宜文, 立居場光生, 松岡剛士, 岩田隆浩, 若林裕之, 浦塚清峰, 松岡建志: "2衛星を用いたバイスタティックレーダによる月極域氷の探索"RISE研究会. 3月12日(講演). (2004)
• [Publications] 牧謙一郎, 相馬央令子, 十枝内愛, 高野忠, 矢守章: "超高速衝突における電波放射のターゲット材質依存性"スペース・プラズマ研究会、宇宙科学研究所. 67-70 (2003)
• [Publications] 菅原章, 高野忠, 花山英治, 上芳夫: "超大型最密充填開口アレーアンテナの放射特性の解析"信学技報. AP2002-149(2003-02). 1-4 (2003)
• [Publications] 高野忠, 菅原章, 加茂紀征: "SPS用大型アンテナの構成の簡略化技術"信学技報. SPS2003-09(2004-02). 51-58 (2004)