2003 Fiscal Year Annual Research Report
液晶による構造再生・創生機能を有する知能化粘弾性組織の試験的開発
Project/Area Number |
15656027
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鳴海 敬倫 新潟大学, 工学部, 助教授 (20143753)
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Keywords | スメクティック液晶 / 粘弾性 / 機能性流体 / 配向構造 / ER効果 |
Research Abstract |
本研究はスメクティック液晶を利用した内部構造の自己再生および構造創生機能を有する知能化された柔軟な粘弾性組織の開発を目指すものである。本年度は比較的流動性の高いスメクティック液晶を用いて、その配向構造の流動下での記憶効果について検討を加えた。具体的には応力制御型のレオメータの測定部を,電場を加えられるように改造し,一様な配向状態を作り,せん断場で変形時の粘弾性特性を調べた。液晶としては8CBを用いて、温度と電場を制御してスメクテイック構造を形成した後に定常流動または微小振動を加えて、流動特性を測定した。電場を加えたままのケースと配向構造形成後に無電場にしたケースとの比較から、以下の点が明らかになった。 まず、スメクティック状態で定常流動、すなわち大変形を加えた場合には、電場強度による流動特性の変化(ER効果)が見られ、ネマティック液晶と異なり、強電場を印加した場合の方が流動性が増した。しかし、構造形成後に無電場にした実験では過去に加えた電場により形成された構造の記憶効果は見られなかった。一方、微小振動を加えて動的粘弾性を測定した結果からは、特徴的な効果があることがわかった。すなわち、電場強度による粘弾性の変化が定常流動の場合と同様に見られているばかりでなく、電場下での流動特性と構造形成後に無電場にした特性はほぼ一致し、微小変形下では電場除去後でも配向構造の維持性があることが分かった。この点から上記の目的が可能であることが確認された。 なお、本年度は分割電極を持つ流路も作製したが、それらによる実験は現在進行中であり、次年度に本格的な検討を加える予定である。
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Research Products
(1 results)