2004 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化単分子層の凹凸パターンを利用した微小機械要素の表面機能化に関する研究
Project/Area Number |
15656031
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中谷 彰宏 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50252606)
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Keywords | 自己組織化単分子膜 / 分子動力学 / パイエルスポテンシャル / 格子力学 / 転位論 / ナノテクノロジー / シュミレーション / 異方性 |
Research Abstract |
マイクロマシンや、ナノロボット、ナノマシンなどの構造部品としてのナノスケールの機械要素に対する設計手法の確立が望まれている中で、近年、ナノレベルの構造制御法の一つとして、自然な形態形成や自己組織化を利用する方法が注目されてきている。自己組織化単分子層(Self-Assembled Monolayer ; SAM)の利用もそのような応用の一つである。本研究課題では、格子転位の概念を、凹凸のパターンを付与したSAM表面の分子間力によりつくられる場のミスフィットに適用し、表面特性の改善や、相対すべり運動する微小機械要素実現のための表面の機能化を目的としている。平成16年度は、昨年度に引続き自己組織化単分子層の基本特性を把握するために、まず、分子間相互作用を記述するポテンシャル関数の調査を行った後に、引続き、Au(111)、および、Si(111)基板のSAMモデルを用いた摺動特性の評価を行なった。前者は均質なSAMモデル、後者は50%サイトに分子が吸着する不均衡も出るとなっている。分子鎖を考え、分子間相互作用には、MM3パラメーターを用いた。SAMの相対すべり運動の分子動力学シミュレーションでは、摺動方向を変化させた様々な条件に対して、押し付け力とすべり方向のせん断力との関係から、摩擦係数を評価し、その異方性を調べた。Au基板のモデルでは押し付け量がある限界値を越えると、摩擦係数が不連続に大きくなるという結果が得られたが顕著な異方性は見られなかった。一方、Si基板では摺動方向によって摩擦係数が異なることが明らかとなった。また、変位制御条件下での荷重変動は、分子鎖の周期と一致し、表面間ポテンシャルにパイエルスポテンシャルとのアナロジーが成立することが分かった。さらに、すべり方向の分子配列における変位量は互いに強い相関が見られたが、すべり方向に垂直な方向の分子配列においては変位量は一様ではなく、キンク運動に類似した機構が認められた。以上のことから、自己組織化単分子膜の摺動に格子力学における転位論を適用できる可能性が示された。
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Research Products
(6 results)