Research Abstract |
本研究では金属・生物顕微鏡で使用されている暗視野法をマイクPIVに応用し,従来の方法では困難であった,より小さな微粒子挙動を可視化することを可能とした.以下,本研究の実績を示す. 1.高分子溶液および磁性流体の密度,粘度,磁化率等の物性値の測定を行った. 2.顕微鏡せん断ユニットを暗視野法が適用できる様に改良し,マイクロせん断流可視化装置を作成する.ここで,レーザー光源を利用した暗視野システムを構築した. 3.流れ場のない状態で,微粒子のブラウン運動を観察すると共に,マイクロPTVを用いて拡散速度を計測し,拡散速度の温度依存性を確かめると共に,標準ナノ微粒子を用いてアインシュタインの関係式から粒径を求め,本システムの有効性を確かめた.また,マイクロ流れでは奥行き方向の位置決めが重要であり,被写界深度が理論値と実験値で相違ないか確かめた. 4.3.で用いた拡散速度からの粒径測定手法を,粒径が未知なナノ微粒子に適用できるかどうか確かめるために,高分子粒子や磁性流体に適応し,粒径を決定した.ここで得られた粒径を,従来提唱されている値と比較検討した。 5.続いて,磁性流体の場合の強磁性ナノ微粒子の二次クラスタ形成について調べた.二次クラスタ構造は,磁性流体濃度,印加磁場によって大きく変化するとものと予想される.そこで,磁性流体を希釈して様々なサンプルを作製した.また,サンプル磁性流体に磁場を印加し,その時のクラスタ形成状態をCCDカメラによって撮影し,ビデオテープに録画した.磁場強度,サンプル磁性流体を変えて,様々な画像データを入手し,得られたデータを画像処理して解析を行った.また,クラスタの長さ,クラスタ形成微粒子数,クラスタ形成時間等と印加磁場との関連を明らかにした. 6.せん断流においても,暗視野法が有効であるか標準ナノ微粒子を用いて,実験を行った.ここで,せん断速度とブラウン運動の関係を調べ,マイクロPIV計測に与えるブラウン運動の影響を明らかにした. 7.せん断流用の高分子粒子や強磁性微粒子等のナノ微粒子が本システムで可視化可能か確認し,被写界深度や温度範囲等本システム仕様を決定した.
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