2005 Fiscal Year Annual Research Report
ごきぶりの方位聴覚機能の研究(新しい補聴器の開発を目指して)
Project/Area Number |
15656062
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
萩原 一郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50282843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小机 わかえ 神奈川工科大学, 工学部, 助教授 (30288211)
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Keywords | 驚愕音 / 逃避行動 / 二酸化炭素 |
Research Abstract |
ちゃばねごきぶり(以下、ごきぶり)の方位聴覚機能を調べるために、空気浮上させた発砲スチロールボール(直径75mm)上に、背中を細い竹串で固定したごきぶりをおき、その周り20cm離れた位置にスピーカを12カ所等間隔に配置し、任意のスピーカから驚愕音を発し、ごきぶりの逃避行動をトラックボールの回転より検出し、驚愕音の方向を認識しているかどうかの確認実験を行ってきた。 ごきぶりを眠らせるためには、二酸化炭素ガスを吸わせると良いことが分かり、重曹に酢を加えて二酸化炭素を発生させごきぶりに吸わせた。5分程度で睡眠状態となり、その後2-3分で覚醒を始め、さらに2-3分後に通常の状態に戻り活発に動くようになるので、この間にごきぶりの頭と胴の間に瞬間接着剤で竹串を接着した。 驚愕音を集めるのは、当初は困難と思われていたが、効果音のCDがあることが分かり、極めて多くの効果音が使えるようになった。生活、交通、人声など千種類の驚愕音を用意した。 実験は、1匹の実験を10分で終わらせ、5-6匹を一単位として行った。これは最初に6匹のごきぶりに竹串を付けることにより、実験の短縮化を行うものである。実験は日没1時間後をめどに開始した。これにより以下のことが分かった。 1.最初に驚愕音を聞かせると逃避行動を取るが、何回も同じ驚愕音を聞かせると、逃避行動は取らなくなる。 2.逃避行動に対して雌雄の区別はない。 3.ごきぶりの反応は驚愕音の大小に影響されない。 4.一定のリズム音よりも衝撃音に反応しやすい。 以上のことが判明した。ごきぶりの逃避行動からは驚愕音に対する方位を明確に判断することはできなかったが、上記の知見は重要なものと思われ、平成18年の機械学会講演会で発表予定。
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