2003 Fiscal Year Annual Research Report
極微細素子を用いた一般化座標上のトンネル現象の研究
Project/Area Number |
15656087
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前澤 宏一 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (90301217)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 孝 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70273290)
|
Keywords | トンネル / 量子力学 / 一般化座標 / 一般化運動量 |
Research Abstract |
本研究の目的は、極微細な双安定素子に生じる回路座標上のトンネル現象という新しい現象の実証である。従来、我々が観測してきたトンネル現象は、共鳴トンネルダイオードのように、実空間上の位置座標間のトンネルであった。しかし、量子力学はより抽象化した一般化座標と一般化運動量においても成り立つ。回路方程式上の変数(ノード電圧や端子電流)を一般化座標とした系を考えれば、この変数空間におけるトンネル現象も理論的には存在する。ここでは微小な双安定素子における電圧座標間のトンネル現象を取り上げ検討をすすめた。 具体的には微小共鳴トンネル素子を直列接続した系についてそのモデル化を行い、これを支配する運動方程式を検討した。この系はエネルギー散逸系であるため、ハミルトニアンを用いた量子化を行うことはできない。そこで現在、この系のラグランジアンの構築とそれを用いた量子化法に関して検討を進めている。 なお、この検討において興味深い回路構成とその方程式を見出した。この回路構成は、共鳴トンネル素子の従来技術の欠点を克服した新しい発振器として使える可能性がある。この回路は直列接続した共鳴トンネル素子の接続点に共振器を設け、バイアスを直列接続回路の両端に加えることが特徴である。このとき、直流バイアス点と共振点が分離されるため、従来、共鳴トンネル発振器において問題となっていたバィアス不安定性を抑制できる。したがって、超高周波で高出力、高効率が得られることが期待できる。今後、これについても実験的に検証する予定である。
|