2004 Fiscal Year Annual Research Report
アインシュタインの光電効果を用いた電子回路基板の非接触・非破壊検査に関する研究
Project/Area Number |
15656098
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 正良 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (70029320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福澤 理行 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (60293990)
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Keywords | 光電効果 / 配線基板 / 非破壊検査 / 非接触検査 / 導通 / 断線 |
Research Abstract |
電子回路基板の配線に用いられる金属にUVキセノンパルス光源を照射したときの光電子放出確率の基本的測定、ならびに、その表面状態依存性と真空度依存性などの基本的測定について昨年度実施した成果にもとづいて、今年度はUVキセノンパルス光源の走査・照射システムの設計・製作を行い、実用に供することができる配線基板の断線・短絡・導通の検査アルゴリズムとプログラムの開発を行って、光電効果による非接触・非破壊な光探針検査法を完成させるとともに、他分野への応用展開を検討することを目指して以下の研究を実施した。 1)現有しているXYステージに真空チャンバーを取り付け、計測制御用パソコンからXYステージを制御することにより、真空チャンバー内の配線基板の任意の位置にUVキセノンパルス光源を集光照射することによって放出される全光電子数を検出するXYステージ走査型光電子電荷量測定システムを開発した。 2)上で開発したXYステージ走査型光電子電荷量測定システムを用いて、配線基板の断線・短絡・導通の検査アルゴリズムとプログラム開発を行った。検査方法として以下の現象を利用した。(a)光電子を捕獲する電極電位をある値Vに保っておき、電気的に浮いている配線の部位Aに紫外光を照射すると、光電子の放射に対応した正電荷がその配線に蓄積され、電位が上昇する。(b)さらに、照射を続けるとその電位は捕獲電極電位Vまで上昇・飽和し、光電子放出が提言する。(c)この状態でその配線の他の部位Bに紫外線を照射すると、部位AB間が導通していれば飽和状態は変わらないし、断線していればその断線部位の電位は初期状態から捕獲電極電位Vまで上昇・飽和する。(d)このことは異なる配線間の短絡状態の検査にも適応できる。以上の検査アルゴリズムは原理的に可能であった。 光短針ビーム径の小径化と走査速度の高速化が実現できれば、本研究の実用化の可能性は高い。
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