2003 Fiscal Year Annual Research Report
公共意識が希薄化する状況下の社会基盤整備においてNPOが果たすべき機能とその限界
Project/Area Number |
15656107
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 法美 高知工科大学, 工学部, 助教授 (30240500)
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Keywords | NPO / インフラ整備 / 信頼理論 / 環境影響緩和計画 |
Research Abstract |
平成15年度は、(1)わが国のインフラ整備における国民からの信頼を回復するためにNPOが果たしうる役割の検討と(2)東南アジアの社会基盤整備事業における環境影響緩和計画とその効果の評価を行った。 (1)については、今後のインフラ整備事業において「社会的不確実性」の発生は不可避であり、事業執行過程に伴う「機会コスト」も増加する可能性が高い。新しい整備事業執行過程の開発と実践が求められている。 社会的不確実性と機会コストが大きい状況では、「高信頼者」が「低信頼者」よりも大きな利益を得る可能性が存在する。すなわち、国民は金銭や役務などインフラ整備への投資先として官以外の組織も主体的に選択することによって、大きな利益を得る可能性がある。NPOには超安心から高信頼に基づく整備事業執行形態への「橋渡し」を担うことが期待される。 しかしNPOの意義を過大評価してはならない。その主要意義は社会的不確実性の低減ではなく機会コストの抑制にある。インフラ整備関連のNPOの最重要課題は信頼性の確保にある。NPOの信頼性は、その使命の妥当性と達成度によって評価される必要がある。 (2)について東南アジアの社会基盤整備事業では、国内外のNPO・NGOが住民を支援して事業への抗議活動が実施されることが多い。住民とNPOの目指すものが何故得られなかったのか、どのようにしたら住民・NPOと事業推進者の「公共性」に関する見解を統合できるのかを明らかにすることが必要である。今回は、東南アジアの二つのダム建設事業においてそれらの事業推進に伴う環境影響緩和計画とその効果を評価し、今後の課題を検討した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 渡邊 法美: "インフラ整備における信頼を回復するためにNPOが果たしうる役割"第21回建設マネジメント問題に関する研究発表・討論会講演集. 43-46 (2003)
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[Publications] T.Tingsanchali, T.Watanabe, K.Chinshed: "Evaluation of environmental impact mitigation plan of Pak Mun Hydropower Project in Thailand"2nd Asia Pacific Training Workshop on Ecohydrology in Cibinong, West Java, Indonesia, 21-26 July 2003. (2003)
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[Publications] T.Tingsanchali, T.Watanabe, K.Chinshed: "Evaluation of Environmental Impact Mitigation Plan of Lam Ta Khong Pumped-storage Hydropower Project, Thailand"Water India-4 on Water Resource Development -Flood Control, Irrigation, Drinking Water, Waterways, Electric Power and its Transmission. (2004)
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[Publications] T.Watanabe: "Bidding Systems of Japanese Public Works Under "Glocalization," Invited Paper"The International Symposium on Construction & Project Management -Human Resources Development under "Glocalization. (2003)
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[Publications] 渡邊 法美: "「信頼の構造」理論に基づくわが国の公共工事競争入札制度改革に関する一考察"土木学会第58回年次学術講演会講演概要集,VI-404. (2003)
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[Publications] J.Pipattanapiwong, T.Watanabe: "Risk and Impact Valuation Process to Project Duration"The International Symposium on Construction & Project Management -Human Resources Development under "Glocalization. III-4 (2003)