2003 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ磁性粒子鎖生成機構の解明と生物融合ナノ磁性素子創成への展開
Project/Area Number |
15656166
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩佐 達郎 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (00133926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 彰 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (70136422)
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Keywords | 磁性細菌 / ラマン分光 / 磁化測定 / マグネタイト / バイオミネラリゼーション / 二次元電気泳動 |
Research Abstract |
磁性細菌におけるナノ磁性微粒子鎖の生成機構を明らかにするために、磁性細菌より種々の試料を作成し、二次元電気泳動によるタンパク質の解析、ラマン分光測定、磁化測定によるマグネタイト生成過程の解析を行った.磁性細菌は化学合成培地にて25℃・微好気性の条件で培養した。試料としては培地に鉄を加えない「無鉄培地菌」とキナ酸鉄を加えた『有鉄培地菌』とから、凍結乾燥した菌体、細胞質分画、マグネトソーム分画、更にマグネトソームを5%SDSで洗浄した洗液部分と固体部分(マグネタイト分画)とを調製した。タンパク質解析、ラマン測定にはこれらの全ての試料を用いて行った。磁化測定にはマグネトソーム分画、マグネタイト分画を用いた。 作成した試料中に含まれるタンパク質を二次元電気泳動(本補助金によって購入)によって解析した。無鉄菌と有鉄菌試料とで泳動パターンの差が見出されているが、詳細な解析は今後の課題である。 ラマン測定では、有鉄培地菌で680cm^<-1>付近にマグネタイトに帰属したピークが観察されたが、無鉄培地菌ではマグネタイトに帰属したピークは観察されなかった。マグネタイト生成の中間体として考えられているレピドクロサイト(γ-FeOOH),緑さびのピークは測定したすべての試料で観察することができなかった。測定したすべての試料において740cm^<-1>付近にピークが観察された。このピークはマグネタイト、レピドクロサイト、緑さびに帰属するものではないが、現在のところその詳細については分からない。これらの結果は現在考えられている菌体内におけるマグネタイト生成モデルを支持しないものである。 磁化測定の結果、マグネトソーム分画の磁気特性から、磁気微粒子の主成分が単磁区のマグネタイト結晶で、磁気微粒子の粒径が均一であることが確認された。これらは今まで報告されたキャラクタリゼーションと一致している。今回新たな知見として、マグネトソーム分画に常磁性物質があることを見出した。これはマグネタイトより生じたさびに起因しない可能性が高いと考えられる。この常磁性物質が何であるかを解明することがナノ磁性微粒子の生成機構を明らかにする上で重要であると思われる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 山中正晴, 酒井彰, 渡辺真悟, 三澤俊平, 岩佐達郎: "バイオ磁性細菌の培養とラマン分光観察"日本生物物理学会北海道支部例会予稿集. 5 (2003)
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[Publications] 山中正晴, 酒井彰, 渡辺真悟, 三澤俊平, 岩佐達郎: "磁性細菌のラマン分光観察"日本生物物理学会第41回年会予稿集. S208 (2003)
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[Publications] Iwasa, T., Mishima, S., Watari, A., et al.: "A Novel G Protein a Subunit Gene in Embryo of the Ascidian, Halocynthia roretzi."Zoological Science. 20. 141-151 (2003)